イタリア国債の利回りが急上昇したことを受けて、米国や日本で株価が下落するという騒ぎがありました。各国の投資家は警戒感を強めていますが、欧州で何が起こっているのでしょうか。

首相就任が決まったジュゼッペ・コンテ氏(写真:ロイター/アフロ)

 直接のきっかけは、新しく首相に指名されたジュゼッペ・コンテ氏の組閣が混乱したことです。コンテ氏は、ポピュリズム政党といわれる「五つ星運動」と極右政党である「同盟」の支持を受けていましたが、閣僚候補者の中に、ユーロからの離脱を主張する人物が入っていたことから、マッタレッラ大統領が組閣を拒否。マッタレッラ氏は、あらたに国際通貨基金(IMF)元エコノミストのコッタレッリ氏を首相に指名しましたが、ポピュリスト連合が強く反発し、結局、コッタレッリ氏による組閣も実現しませんでした。最終的にはコンテ氏の首相就任が決まり、ポピュリズムと極右による連立政権が発足することになりました。

 一連の事態を受けて市場ではイタリアの国債が売られ、2年債の利回りが急上昇するなど動揺が広がりました。とりあえず様子を見ようと一部の投資家が投資を手仕舞ったことから、米国や日本など各国で株価が下落するという騒ぎになったわけです。

 イタリアは以前、財政危機を起こしたことがありますが、EUによる支援で壊滅的な状況は回避することができました。しかしイタリアの政府債務のGDP(国内総生産)比率は資産を考慮に入れないグロスで131%となっており、財政が健全なドイツ(64%)と比較するとかなり悪い状況です。普段は大きな問題にはならないのですが、政局の混乱などが発生すると、投資家がリスク回避で国債を売るという動きにつながってきます。またポピュリスト連合は、歳出拡大による景気刺激策や失業者への最低所得保障などを主張しており、財政悪化要因が目白押しです。

 以前と異なり、EUには危機を回避するための仕組みが多数構築されていますから、イタリアの国債がさらに売られることになっても、金融危機のような事態は発生しないと考えられます。しかし、コンテ政権の財政政策が市場から信認されないという状況になった場合、国債がさらに下落し、各国の市場に影響を与える可能性は十分にあるでしょう。

 米国の景気さえしっかりしていれば大きな問題は起こりませんが、もし米国の景気が足踏みするようだと、さらに世界の株価が下落するという事態にもなりかねません。日本は来年、消費税の増税が控えているなど経済には逆風が吹いていますから、イタリアの政局は日本にとっても頭痛の種となる可能性があります。

(The Capital Tribune Japan)

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