阪神・鳥谷はなぜ虎ファンの熱烈な支持を受けるのか?(写真・黒田史夫)

 ゲームセットと同時に鳥谷のボードを掲げる人たちが立ち上がった。
「トリタニ!」「トリタニ!」
 大コールが甲子園にこだました。ヒーローインタビューを求める声。
 7回を1失点にまとめた先発の秋山と、鳥谷の2人がお立ち台に呼ばれた。
「ええ、まあ、出れないときも打席に立ったときに大きな声援をいただいていた。感謝しています。(お立ち台の感触は?)久しぶりすぎて、なんだかよくわからないんですが、これからも1回でも多く立てるように頑張っていきたい」
 6月7日、甲子園での交流戦でオリックスとの関西ダービーを2-1で制しての今季初となるお立ち台で鳥谷は、ほとんど笑わなかった。そういうニヒルさが鳥谷の鳥谷たる所以なのだろうが、対照的にスタンドのファンの中には泣いている人までいた。
 今季初の三塁でのスタメン出場。打順は6番だった。まず、昨年ゴールデングラブ賞を獲得した三塁の守備で魅せた。4回一死一塁。マレーロの三塁線を襲う強烈な打球を横っ飛びでキャッチすると、すぐさま立ち上がって二塁へスローイング。5-4-3の併殺にとった。
「自分の所に飛んできたのは全部アウトにしてやろうという気持ちでいたのでゲッツーになってよかった。去年1年守ったポジション。守りやすさもあった」
 抜けていればピンチが広がる場面だった。
 同点にされた6回裏には打で魅せる。
 二死一塁から金子のチェンジアップをうまくバットの芯で捉えた。打球は右中間へ。糸井が一気にホームを駆け抜け、これが勝ち越しの決勝点になった。
 金本監督が「その前の打席でやられたのと同じボール。それをしっかりとね。同じ失敗をしない。うまくというかよく間を抜いてくれた」と分析したが、二回一死三塁の先制機には、外のチェンジアップに対してバットを当てただけの中途半場なバッティグでショートゴロとなり走者が本塁で憤死していた。
「1打席目にチャンスでランナーを返せなかったので、なんとかつないでいこうと。打球がいいところに飛んでくれた。糸井もしっかり走ってくれて決勝点になってよかった」
 鳥谷のチーム貢献の意識がもたらした決勝タイムリー二塁打だった。

 プロ野球歴代2位となる鳥谷の連続試合出場記録が「1939」でストップしたのが5月29日のソフトバンク戦。試合後、金本監督は「使うところがなかった」「向こうも感謝していると言っていた」とコメントした。翌30日の同じくソフトバンク戦で9回に代打で登場すると負けているゲームにもかかわらず凄まじい歓声が上がった。吹っ切れたように鳥谷は、この打席でライト前ヒットを放っている。以降、鳥谷が打席に立つごとに、阪神ファンのボルテージがひとつ高くなる。それはアウエーゲームでも同じだ。

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