米朝首脳会談が行われるシンガポールまで、金正恩氏がどのような手段で移動するのかが注目されていましたが、最終的には中国国際航空のチャーター機が使用されました。なぜ、シンガポールまでの移動にこれほどの注目が集まったのでしょうか。

米朝首脳会談に臨んだ金正恩氏(写真:ロイター/アフロ)

 米朝首脳会談は6月12日にシンガポールで行われましたが、シンガポールでの開催が決まってすぐに話題となったのが金氏の移動手段です。民主国家とは異なり、独裁国家のトップが長い距離を移動するのはそう簡単なことではありません。いつ政敵に狙われるか分かりませんし、カリスマ性を維持するため露出をコントロールする必要もあります。金氏は健康状態を周囲に知られないよう、公共のトイレは一切使わず、専用トイレを訪問先に持ち込んでいるという報道もあるくらいですから、宿泊を伴う長距離の移動には特に神経を使うわけです。

 これに加えて北朝鮮には独自の事情もあったようです。同国は政府専用機を保有していますが、これは旧ソ連製のイリューシンIL-62を改造したもので、老朽化が激しく故障が多発しているといわれてきました。搭乗できる人員も少ないため、今回の移動には不適切との指摘が各国メディアから相次いでいました。

 北朝鮮とは国交がない国も多いですし、金氏が一般的な定期旅客機に乗るわけにもいきません。そこで浮上してきたのが中国のチャーター機の活用です。

 中国の要人が移動する際には、主に中国国際航空のチャーター機が使われます。これを北朝鮮に貸し出して、金氏が搭乗するというわけです。

 最終的には10日の朝に、中国国際航空のボーイング747型機と、政府専用機の両方が平壌を離陸しましたが、当初はどちらに金氏が乗っているのか明らかにされていませんでした。両機とも中国本土の上空からベトナムを通るルートで飛行を続け、夕方には無事シンガポールのチャンギ国際空港に着陸しました(中国上空を飛行したのは中国軍機が護衛するためと言われています)。そして着陸後、金氏が出てきたのは中国国際航空のボーイング機でした。

 故障などのリスクを避けるため中国のチャーター機に搭乗したというのが一般的な解釈ですが、こうした国際交渉では様々な情報戦が行われます。専用機の飛行が難しいという話についても、情報を混乱させるため、北朝鮮側が意図的に流した可能性も十分にあるわけです。

(The Capital Tribune Japan)

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