香川は攻守に存在感を示した(写真・ロイター/アフロ)

 単なる親善試合とは思えないほど、日本のベンチ前は沸き立っていた。
 乾貴士が同点ゴールを叩き出したあと、香川真司がようやくゴールネットを揺らしたあと、試合終了を告げるホイッスルが吹かれたあと……。
 ワールドカップ前、最後のテストマッチとなったパラグアイ戦。西野ジャパンは乾の2ゴール、オウンゴール、香川のゴールで4−2と勝利した。

 西野朗体制になって3試合目にして挙げた初勝利。もっとも、この試合の価値は、良い流れでワールドカップに向かえるということだけにあるわけではない。

「監督が替わって攻撃のベースがないなかで、そこにベースを作り出していきたいな、と思っていた」
 そう語ったのは香川である。ガーナ戦以来の出場となった岡崎慎司もこう言った。

「最低限これをやらないといけないというものを全員が出せたと思う」
 これまで選手間で重ねてきた議論に、ひとつの答えを示せたという点に、この勝利の価値があった。
 西野朗監督が前日、メンバーの入れ替えを示唆したこの試合。フタを開けてみれば、公言どおり、4日前のスイス戦からスタメン11人全員が変更された。

「レギュラーメンバー、バックアップメンバーに分けているわけではない」

 指揮官はそう語ったが、ガーナ戦、スイス戦で先発したメンバーがトレーニングでも主力組に入ることが多く、パラグアイ戦の先発メンバーはどうしてもサブ組のような印象がつきまとう。その彼らが、意地と覚悟を見せた。
 最初に触れるべきは、前線からのプレッシングだろう。闇雲に追いかけている感のあったスイス戦とは異なり、1トップの岡崎とトップ下の香川が相手にパスをサイドに出させるように誘導してプレスを仕掛け、それに呼応するようにサイドハーフの乾や武藤嘉紀がパスの受け手に圧力を掛ける。

 岡崎と武藤はそれぞれレスター、マインツで献身性が高く評価されているが、とかく攻撃面がクローズアップされがちの香川と乾もドルトムント、エイバルで日常的にプレッシングを敢行している。岡崎が言う。

「今日前線でやっていた選手たちは日頃からチームでもそういうスタイルでやっている4人が並んだと思っていて、俺が行けば、サイドから武藤が来てくれるというのは上手くいったと思う」

 前線がしっかりボールホルダーにプレッシャーを掛けたり、パスコースを限定したりするから最終ラインも高く保つことができた。その程よい選手間の距離は、攻撃面でも活かされていた。

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