相次ぐM&A(合併・買収)で業容を拡大しているRIZAPグループが、6月にカルビーのCEO(最高経営責任者)を退任する松本晃氏をCOO(最高執行責任者)に迎え入れます。実績を上げた大物経営者がベンチャー企業のCOOに転籍するのは珍しいケースですが、RIZAPにはどのような狙いがあるのでしょうか。

RIZAPグループが迎え入れる松本晃氏(ロイター/アフロ)

 松本氏は、伊藤忠商事やジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社のトップを経てカルビーのCEOに就任。同社を8期連続で増収増益に導くなど、めざましい実績を上げました。日本では数少ない、本格的なプロ経営者の一人といってよいでしょう。

 一方、RIZAPは、トレーニングジム事業を中心に、多角的な経営を行うベンチャー企業ですが、これまで創業者である瀬戸健氏が1人で組織を引っ張ってきました。同社は積極的なM&Aによって毎年、業容を拡大。2018年3月期の売上高は1362億円に達し、5000名以上の従業員を抱える大企業に成長しています。この規模になってくると、カリスマ経営者といえども全体をマネジメントするのが難しくなってきます。同社は2021年3月期に売上高3000億円を目指しており、これを実現するため、経験豊富な松本氏をCOOとして招聘することになりました。

 松本氏は事業全体の執行責任を負うほか、専門分野であるヘルスケア関連の事業展開や海外展開の舵取りも行う予定です。しかしながら、松本氏は最終的にトップに立つというシナリオではなく、あくまで創業者の瀬戸氏がトップとして会社を引っ張る構図に変化はないようです。松本氏は経済紙とのインタビューにおいて、瀬戸氏を息子にたとえ「息子を一流の経営者にしたい」と発言していますから、あくまで若い瀬戸氏を支える役割に徹するようです(ちなみに松本氏は現在70歳、瀬戸氏は40歳です)。

 これまでRIZAPは、業績が傾いた会社を買収し、収益体質に転換することで全体の業績を拡大してきました。当初は健康関連の企業が多いという特徴がありましたが、最近では買収対象はあらゆる業種に広がっています。

 同社は、業容拡大に合わせて増資を実施していますが、こうした拡大シナリオは、一気に財務体質が悪化するリスクも抱えています。松本氏がどれだけ各社の業績管理やリスク管理に手腕を発揮できるのかが、今後の成長のカギを握るでしょう。

(The Capital Tribune Japan)