本田か、香川か。コロンビア戦のトップ下で先発起用されるのはどっちだ?(写真・アフロ)

 事前合宿も含め、ワールドカップ期間中は選手の負担を軽くするため、誰がどの日に取材対応するか、事前に決められている。
 だいたい1日6人程度。ただし、例外もある。試合のあとや合宿の初日、オフの日などは選手全員がミックスゾーンに来ることになっている。

 パラグアイとのテストマッチが行われた6月12日から14日までの3日間は、偶然にも選手全員がミックスゾーンを通る日が続いた。

 12日は試合があったため。ロシアへの移動日だった13日は午前練習が急きょオフになったため。14日はカザン合宿の初日だったため。

 そこで足を止めるかどうかは各々の判断に委ねられているが、今の日本代表に取材陣に声を掛けられて、足を止めない選手はいない。ただひとりを除いては――。

 3日間一度たりとも取材に応じなかったのは、本田圭佑である。

 13日は本田の32歳の誕生日だったから、ひと言コメントを要望したが、それでも本田が足を止めることはなかった。

 なぜ、足を止めなかったのか――。メディア不信に陥っているとか、香川真司とのポジション争いで分が悪いからといったレベルの低い話ではないだろう。

 最後にメディアの前で口を開いたのは、取材対応が割り当てられていた6月10日の練習後。そこで本田は
「ここからは自信を過信に変えていくくらいのフェーズ」「今はもっと自分のことを考えないといけないな、というくらいチームのことを考えている。なので、今の作業の難しさとしては、どこでエゴを出すかという難しさだと思う」と語っていた。

 まさに今、本田は頭のなかでワールドカップ初戦のコロンビア戦のシミュレーションを何度も繰り返し、自分自身を“洗脳”しているところなのだろう。そうした作業を、メディアに邪魔されたくない、と考えているのかもしれない。

 2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会と、2大会続けてエースの看板を背負った本田だが、今大会ではアンタッチャブルな存在ではない。トップ下をめぐって、香川と熾烈なポジション争いを繰り広げているからだ。

「選手の良さを最大限に引き出したい」と語る西野朗監督が、ともにトップ下でこそ最も輝くと考えられている本田と香川を共存させる可能性は極めて低いと思われる。

 唯一可能性があるとしたら、3−4−2−1の2シャドーでの共演だろうか。しかし、3−4−2−1はあくまでもオプションのひとつ。ベースはおそらく4−2−3−1で、このシステムにはトップ下は1席しかない。
 当初、西野監督がスタメンとして考えていたのは、間違いなく本田だった。5月21日からスタートした千葉合宿で試された3−4−2−1の2シャドーに宇佐美貴史とともに起用され、5月30日のガーナとの親善試合でも先発起用された。

 一方、2月に傷めた左足首の回復が遅れていた香川はサブ組でのトレーニングが続き、ガーナ戦でも後半からの出場だった。
 4−2−3−1が試された6月8日のスイスとのテストマッチでもトップ下として先発したのは本田で、香川は後半31分から本田に代わってピッチに立った。
 潮目が変わったのが、6月12日のパラグアイ戦である。

 スイス戦から先発メンバー11人全員を入れ替えて臨んだこの試合でトップ下に入った香川は1得点2アシストをマークし、復活を印象づけたのだ。

 本田がガーナ戦、スイス戦で結果を残せなかった一方で、香川が目に見える結果を残したこと、セレッソ大阪時代の盟友である乾貴士との息の合ったコンビネーションを見せ、ふたりをセットで出場させるべきとの見方が強まったことで、香川の先発待望論が一気に高まった。

 もっとも、ワールドカップに出場するスイスと、予選で敗退して世代交代を敢行しているパラグアイとではチーム力、モチベーションに雲泥の差があり、スイス戦で結果を残せなかった本田より、パラグアイ戦で結果を残した香川のほうが上、というのは短絡的すぎるだろう。