トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩委員長との会談が実現したことで、北朝鮮の経済支援をどう実現していくのかに注目が集まっています。資金の出し手として日本に期待する声が大きいようなのですが、日本にはその余裕はあるのでしょうか。

写真:ロイター/アフロ

 今回の会談では、非核化の時期や具体的な手法についての議論は行われず、今後の協議にゆだねられることになりましたが、とりあえず非核化のプロセスがスタートすることになりました。米国は非核化実現と引き換えに北朝鮮に対して経済的支援を行う方針を示していましたが、トランプ氏は、実際の資金負担を米国が行うことはないと明言しています。また同氏は「日本と韓国が資金を出す」という発言も行っており、特に日本に対して強い期待を抱いているようです。

 安倍首相は米朝首脳会談が実現したことから、日朝首脳会談の実施を強く希望しているとされ、日朝間では水面下の交渉が始まっています。安倍氏が8月に平壌を訪問するといったプランも浮上しているようです。

 しかしここで問題となるのが日本からの資金援助です。トランプ氏は安倍氏がいないところで、資金に関する発言を行ったわけですが、この話はすでに国際社会では既成事実化しつつあります。北朝鮮側も日本が資金を出す用意があると考えている可能性は高いでしょう。

 北朝鮮は、相手に無理難題を持ちかけ資金提供を勝ち取るという交渉を得意としてきました。北朝鮮が過去の植民地支配などの話題を持ち出し、金額の引き上げ交渉を行うことは容易に想像できます。また日本は拉致問題をどうしても解決する必要がありますが、拉致問題は米朝交渉で議論されたものの、文書という形では残されませんでした。北朝鮮は拉致問題というカードも持っているわけです。

 つまり拉致問題については日本が独自に解決しなければならず、一方、資金援助については、米朝交渉の枠組みにのってしまっているという状況です。日本が拉致問題が完全に解決しない限り、資金は出せないという強気の交渉を行った場合、米国から横やりが入る可能性も否定できません。日本は今回の米朝合意によって、極めて難しい立場に置かれてしまったのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)