長野県がまとめた「ふるさと納税」の昨年度実績では、寄付金の使い道として「子育て支援」や子どもたちの環境整備を挙げた寄付者が最も多いことが分かりました。3位の「自然環境の保全」を約3倍上回る使途希望で、いじめや虐待、貧困、待機児童など子どもをめぐる社会問題の広がりを反映していると見られています。

「子育て支援」「学びの場提供」が1、2位

[写真]子育ての環境整備に取り組んでいる自治体も増えている(長野県青木村で)

 長野県のふるさと納税は「ふるさと信州寄付金」と呼ばれ、2017年度の寄付件数は3万3496件、総額は3億9500万円余。前年度より9300万円余増と順調な伸びを示しています。寄付者数は東京都9122件、神奈川県3601件、大阪府3064件、愛知県2440件など。

 一部の法人を除き、寄付者のほとんどを占める「個人」の「寄付金の使途の希望」を調べたところ、「子育て支援に使ってほしい」が2125件、金額で2285万円を占めてトップ。次いで「子どもの希望を実現できる学びの場の提供に生かしてほしい」が1735件、1848万円でした。

 続く「自然環境の保全」は1209件、1385万円余で、あとは「観光地域づくり」709件、「信州農畜水産物の利用拡大」693件、「日本酒・ワイン振興」675件など。子育て支援と子どもの環境整備への期待が突出しています。

 長野県がまとめた2017年実施の「子どもと子育て家庭の生活実態調査」によると、(1)低所得(4人世帯で可処分所得245万円未満など)、(2)家計がひっ迫(公共料金の滞納、食料・衣類が買えないなど)、(3)子どもの体験や所有物の欠如が3つ以上(家族旅行、学習塾、本、勉強できる場所など)――の要素のうち、2つ以上当てはまる家庭が「困窮家庭」とされ、全体の1割近い9.3%を占めていることが分かりました。

 3要素のうち、いずれか1つが当てはまる家庭は「周辺家庭」とされ15.2%。困窮家庭と周辺家庭を合わせると4分の1近い24.5%が低所得、家計のひっ迫、子どもの体験や所有物の欠如のいずれかの問題を1つ以上抱えていることになります。

 こうした貧困の問題にとどまらず、いじめや虐待、保育施設など子育て環境の立ち遅れが広く問題となっており、ふるさと納税の使い道としてもこれらの課題に取り組んでほしい、との期待が浮き彫りになったと言えそうです。


■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説