これまでネットの世界が中心と思われていた、定額制(サブスクリプション)のシステムをリアルなビジネスでも導入する企業が増えてきました。これにはどのような背景があるのでしょうか。

音楽配信サイトのスポティファイは定額制で大きなブームを巻き起こした(写真:ロイター/アフロ)

 西新宿にある「coffee mafia」は月額3000円を支払うと、通常は1杯300円のラージサイズのコーヒーが飲み放題となります(来店1回につき1杯、1日何回でも利用可能)。似たようなシステムを導入するカフェは増えており、細かい違いはありますが、一定金額で何杯も飲めるのが特徴です。300円のコーヒーが月額3000円で飲み放題になるわけですから、コーヒーを飲む回数が多い人にとってはお得なサービスといってよいでしょう。

 定額制はネット業界では比較的ポピュラーなシステムです。世界的に大きなブームを巻き起こしたのは、音楽配信サイトのスポティファイでしょう。同社は月額980円で、あらゆる楽曲が聴き放題となります。その後、グーグルやアマゾンなど各社が聴き放題のサービスを提供しています。

 現代社会は価値観が多様化していますから、画一化された商品やサービスを大量に売るというやり方にはどうしても限界があります。商品やサービスを気に入ってくれた顧客を囲い込み、リピーターになってもらうことは、事業者にとって重要なファクターとなっています。消費者も、自分が気に入った商品やサービスをお得に利用できるわけですから大きなメリットを得られます。ネットだけでなく、リアルなビジネスに定額制が増えてきても不思議ではありません。

 この動きは今後、さらに加速すると考えられます。その理由は、自動車や洋服など、従来の常識では定額制はあり得なかった商品にも同じシステムが採用される可能性が高いからです。

 今後、自動運転システムが普及すると、クルマは持つものから利用するものへと変化するといわれています。すでに自転車のシェアリングは身近なものになっていますが、クルマも月額料金を払えば、一定の範囲で乗り放題というサービスが増えてくるでしょう。すでに米国では、高級車を中心に月額単位でクルマを利用できるサービスに乗り出すメーカーが増えています。

 アマゾンやZOZOTOWNなどでは、似合う洋服をAI(人工知能)が選んでくれるサービスを開発中です。こうしたサービスが普及すると、一定金額を払っていれば、季節ごとに似合う洋服が勝手に送られてくるといったようなことも実現可能となります。買い物に対する価値観は今後、大きく変化するでしょう。

(The Capital Tribune Japan)