奇跡ではない。香川の先制PK成功にもちゃんとした理由があった(写真・ロイター/アフロ)

 前半、地鳴りのように響いたコロンビアサポーターによる大歓声とブーイングは、もう聞こえてこなかった。ゲーム終盤、日本は「オーレ」の合唱が聞こえてきてもおかしくないほど軽快に、気持ち良く、落ち着いてボールを動かした。
 奪いに行ってはかわされ、途方に暮れるコロンビアの選手たち。それはまるで4年前、ブラジルの地でコロンビアにもてあそばれた日本の選手たちのようだった――。

 6月19日に行われたロシア・ワールドカップのグループステージ第1戦。日本はコロンビアを2対1で下し、白星スタートを切った。
 4年前のリベンジとなったこの勝利が多くの幸運によってもたらされたのは間違いない。なにせ、最も警戒していた相手のエース、ハメス・ロドリゲスが負傷のためにスタメンから外れただけでなく、開始3分で早くも数的優位に加え、先制点まで手に入れたのだから。
 ただし、この勝利を幸運だけで片付けるわけにはいかない。

 先制点の場面。カウンターで抜け出した大迫勇也は身長187センチのダビンソン・サンチェスとの競り合いに負けず、粘り強くゴール前まで持ち込み、鋭いシュートを見舞った。

 大迫のシュートがGKに弾かれたあと、香川真司が走り込み、フィニッシュへと持ち込んでいなければ、PKも相手の退場もなかった。そもそも昌子源がヘディングでクリアしたボールを自陣で受けて大迫へと繋いだのは、ほかでもない香川だった。そこからのロングランが、先制点に繋がったのだ。

 中央やや右という、一見甘いコースのように思われるPKも、アイデアが詰め込まれたものだった。輝きを取り戻した10番が明かす。
「ちょっとタイミングを外すことは頭の中にあった。相手もたぶんデータを取れていなかったと思いますし、だからこそ使えるなと思っていた。うまくできたと思います」

 もっとも、早い時間帯に奪った先制点が、チームにとって足かせになることがある。守り抜きたいという意識が強まって、守備へと傾き過ぎることがあるからだ。

 この日の日本も先制点のあと、やはり「後ろに重くなってしまった」と昌子が告白する。だが、「その時間帯にいかに失点しないかをすごく話し合っていた」と続けた。

 幸運だけで片付けられない理由は、ここにもある。