震度6弱を観測した大阪府北部の地震では、同府高槻市の小学4年の女児が通学途中、倒れてきた学校のプールのブロック塀の下敷きになって死亡するという痛ましい事故が起きた。子供たちが何気なく歩いている通学路にある、普段は気にも留めていないものが、突然人の命を奪う凶器に変わってしまうという地震の恐ろしさを改めて認識させられた。ただ、地震の時に通学路に潜んでいる危険はブロック塀だけではない。そんな危険が潜む場所にどう対処すればよいのかを図示した、分かりやすいイラストが評判になっている。

ちかづかないほうがよいかべ(作成:島崎敢@NIED)

 イラストを作ったのは防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の特別研究員で、『心配学』(光文社新書)の著書がある島崎敢さん。地震があった18日の午後7時半ごろ、3人の娘の父親でもある島崎さんは長女(7歳)と次女(5歳)を連れて、小学校までの通学路の危険箇所を散歩しながら点検する「防災街歩き」をしてみた。屋根瓦が落ちてきそうな所や古くて高い壁がある所など、以前から「危ないな」と思う場所がいくつかあった。自分と同じような年齢の小学生が犠牲になったことを知っていた子供たちも、いつになく真剣な表情で歩いた。

 一通りチェックを終えた後、島崎さんは「ママ友グループLINE」に報告してみた。すると「自分も子供と一緒にやってみたいけど、どこをどのようにチェックしたらいいのかが分からない」という反応。島崎さんは「ネット上に子供でも分かるようなシンプルな資料があるだろうから、それを紹介しよう」と検索してみたが、出てくる資料は専門的なものが多く、なかなかいい資料が見つからない。であれば、と自ら作ることにした。

かわらがおちてくるところのみわけかた(作成:島崎敢@NIED)

 これまでに仕事でたくさん街歩きをやっていて、多くの資料を見たり、話を聞いたりしている。また被災地に行った時に倒れていたり崩れていたりしたものを見た経験がある。それらを基に、島崎さんが約1時間半かけて作ったイラストは「壁編」「屋根瓦編」「その他編」の3枚。近づかないほうがよい壁や、屋根瓦が落ちてくる場所の見分け方などをイラストと簡潔な文章で説明している。子供が使いやすいように、イラスト内の文字をすべて平仮名表記にし、1枚に盛り込む情報量も極力減らした。

ゆれたらどうなるかそうぞうしてみよう(作成:島崎敢@NIED)

 島崎さんが20日、イラストを「ご自由にお使いください」とTwitterに投稿すると、予想以上の反響があった。個人的に作ったものだったが、斜面災害や火災など別のイラストも加えて、所属する防災科学技術研究所のコンテンツにしようという話も出てきているという。

 島崎さんは「子供たちがこのイラストを使って通学路を点検することで、『危ないところはどこだろうか』と自分で考える視点を養ってほしいと思っています。ただし、イラストばかり気にして交通事故に遭うなんてことはくれぐれもないように。そこだけは気をつけてください」と話している。

飯田和樹・ライター/ジャーナリスト(自然災害・防災)