政府が導入を進めようとしている高度プロフェッショナル制度(高プロ)の対象となる年収に、通勤手当も含まれることになりそうです。新幹線通勤などにも手当を支給する企業の場合、年収は低くても、高プロの対象に該当する人が出てくる可能性があります。

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 現在、国会では働き方改革関連法案が審議されていますが、同法案には高度プロフェッショナル制度が盛り込まれています。この制度は、年収1075万円以上の高度なスキルを持つ社員を、労働時間の規制対象から外すというもので、一般的には、研究職やコンサルタント、アナリストなど、年収が高く、かつ専門性の高い職種が該当するとされています。

 柔軟な働き方が可能になると評価する声がある一方、一部の専門家は、多くの人材がなし崩し的に高度プロフェッショナル社員に認定される可能性があり、実質的な給与削減になるとして批判しています。

 こうした中、厚生労働省が、高プロの対象となる年収の中に通勤手当も含まれるとの見解を示したことに注目が集まっています。

 企業の中には、どれだけ距離が遠くてもその分だけ通勤手当を支払うところがあります。新幹線などを使って遠距離通勤する社員の場合、その金額はかなりの額に達するでしょう。もしこうした高額の手当についても年収と認定された場合、実際の年収が低くても高プロの対象となってしまう可能性が出てきます。本来の高プロの趣旨からは外れてしまう可能性があることは否定できません。

 一方で、現行の通勤手当のシステムについては否定的な意見があるのも事実です。会社の近くに住んで、ワークライフバランスを充実させようとしている人には手当がなく、時間をかけて遠くから通う人に高額の手当が出ることに不公平感を持つ人も少なくありません。

 一部の企業では会社の近くに住む人に多くの手当を出し、できるだけムダな時間を少なくするよう促すところもあります。高プロの制度そのものにはいろいろと議論の余地があるのも事実ですが、こうした制度改正が、従来の制度を見直すきっかけになることもあります。働き方に関する制度は、非常に重要なテーマですから、拙速に事を進めず、徹底的に議論した方がよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)