[イメージ]汗を拭くサラリーマン(写真:アフロ)

 ひと昔前までビジネスマンの仕事着といえばスーツが定番でしたが、近年、夏のビジネススタイルはノーネクタイが当たり前、ポロシャツにチノパン姿の若者も珍しくありません。

 伊勢丹出身で、男性向け服装コンサルタント会社「ライフブランディング」の吉田泰則社長は「東日本大震災以後、節電意識が高まりクールビズが一気に企業などで定着した。スーツも自転車やウオーキング通勤しやすい伸縮性の高いものが人気になっている」と指摘します。一方、工場や建設現場では、上着に小型ファンをつけて服内に涼しい風を送る作業着が人気を集めており、夏場の仕事着は変化しつつあるようです。

夏スーツの素材進化

 クールビズ(COOL BIZ)は環境省が地球温暖化対策の一環として2005年に提唱された言葉。冷房時の室温が28℃でも快適に過ごせるライフスタイルを目指したものですが、当初はネクタイを外し、軽装で働くといった程度の認識で、ポロシャツ、スニーカーなどは不可、チノパンも条件付き容認で、実施期間も6月1日から9月30日でした。

 しかし、2011年の東日本大震災と、それに伴う東京電力・福島第一原子力発電所の事故による節電が求められたことなどを背景に、「スーパークールビズ」として2015年までは5月1日から半年という長期スパンが設定されました。2018年も5月1日から9月30日までの5カ月間となっています。

 吉田氏は「震災以後、大手企業がチノパン、ポロシャツだけでなく、アロハシャツ(かりゆしシャツ)などもOKという企業もある。冬はジャケットを着るが、春夏のスーツはいらないのではという考え方も出ている。さらに昨年、スポーツ庁がスニーカー通勤などを奨励するファン プラス ウォーク プロジェクトを打ち出しことを受け、アパレルメーカーや大手百貨店はこの夏、通気性、伸縮性のよい夏のスーツスタイルを提唱してきている」と話します。

 カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、プロゴルファーや東レと共同開発した伸縮性の高い「感動パンツ」が好調。汗をかいてもさらっとした着心地が特徴で、パンツが4000円程度と値ごろ感があり、「ポケットにも通気性の良い素材を使うなどこだわった。同タイプのジャケットとの上下購入も人気」といいます。

 スーツのパンツなどはクリーニングに出さず、自分で洗濯したいという若手ビジネスマンも多いといい、「速乾性が高いので、前の晩に洗濯機で洗っても、次の日には乾いており、型崩れしにくいので、アイロンがいらず、朝そのままはいていけるのが強み」(ユニクロ)といいます。

 洋服の青山もホームページなどで、水洗いで簡単に汚れを落とせる「ウォッシャブルスーツ」を提唱し、家庭で洗え、クリーニング代節約などを強調しています。

 一方で吉田氏は「ビジネススーツのマナーは相手に失礼にならないというのが本来の姿。夏のカジュアル化は自分が着心地がよく、快適ということに考えがいきがちだが、相手に礼を失さないという観点は忘れてはならない。だらしなく見えないか、ケースによって相手の目線に立ってビジネススタイルを考えてほしい」と指摘しています。