マラドーナは母国の奇跡勝利に興奮の余り試合後、不整脈を起こして倒れた(写真・ロイター/アフロ)

引き分けでもグループリーグ敗退の危機だったアルゼンチンがナイジェリアを奇跡的な展開で2-1で下してグループDを2位で通過、4大会連続の決勝トーナメント進出を決めた。

スペイン語圏の 各メディアが注目した、もう一人の主役が、アルゼンチンの全試合をスタンドで観戦してきたアルゼンチンの“英雄”ディエゴ・マラドーナ氏の動向だった。

スペインのマルカ紙は、ブルーのプーマのTシャツ姿で応援していたマラドーナ氏の一喜一憂している姿を13枚の写真を使って伝えた。記事によると、メッシのゴールが決まった瞬間、腕を胸の前でクロスにして白目をむき一種の「トランス状態」になったという。

 試合前からファンの歓声に応えたり、ナイジェリアの女性とダンスをしたりとスタンドを賑わせた“神”だったが、同紙によると、あまりに興奮しすぎたためか、試合終了直後に体の不調を訴えてダウン。付き添い人にに体を支えられながらスタジアムを後にし、静養のためにモスクワへ移動した。
その後の容態についてマラドーナの関係者がマルカ紙に語ったところ「疲れているが大丈夫」だという。

 アルゼンチンのTYCスポーツは、さらに詳しく「マラドーナが試合後、不整脈になった」と伝えた。
 マラドーナは、試合後に血圧が急激に低下。特別ボックス席に運ばれ、スタジアムの医者に応急処置を受けたという。幸い病院に運ばれるほどの大事には至らず、その後の経過は良好と、伝えられた。毎度、お騒がせのマラドーナを悶絶ダウンさせるほど奇跡的な勝利だったというわけだ。

 もちろん、各メディアがメインに取り上げたのはマラドーナではなくアルゼンチンの勝利。

 BBCのスペイン語版は「簡単ではなかった。展開は悪かったし、うまくプレーできなかった。しかし、救世主が現れた。マルコス・ロホだ。DFが予期せぬヒーローとなった」と、1-1でむかえた後半41分に右からのクロスに鮮やかなダイレクトボレーで決勝ゴールを右隅に決めたロホを称えた。そのロホは、現地テレビのインタビューで「頭の中にいろんなことがよぎっている。実は、オタメンディに自分がゴールを決める、と言っていたんだ。これは家族、妻、みんなのためのゴール。それが我々を批判していた人たちであってもだ」とのコメントを残している。

 そして主役としてメディアが扱ったのは、前半14分に価値ある先制ゴールを右足で決めたエース、リオネル・メッシだ。初戦のアイスランド戦でPKを外して叩かれたメッシは気迫のこもったワールドカップ通算7得点目となる今大会初ゴールでチームを引っ張った。
前出のマルカ紙は、「メッシはワールドカップの裏口から立ち去る必要はなかった。ロホが人生で忘れられない敗北を喫しかけたアルゼンチンとメッシを救った」と、この感動的な一戦を奉じた。

「神は我々とともにいる」
アルゼンチンの地元紙「Ole」は、奇跡的な勝利をこう表現した。
 メッシは、同紙の取材に、「こんな風に勝てるなんて素晴らしい。マルコス(ロホ)の価値あるシュートは、我々の苦しみを払拭してくれた。アルゼンチンのサポーターも、我々と一緒に苦しんでいたけど、一時たりとも周囲の雑音を頭に入れないでくれた。そして代表のユニホームをみんなの上に掲げることが出来た」と涙ながらに答えたという。
そしてメッシは、「大事なのことは、苦しみは、もう過ぎ去ったということ。この試合で苦しんでいたなんて、ばかげたことだ。でも、ワールドカップは、誰にも何のプレゼントもしてくれないということを教えてくれた。スペインもポルトガルも、古豪といわれたチームも苦しんだ。どの試合も勝つのは難しいのだ」と、つけ加えた。