会場が大ブーイング。西野監督が決断した戦術に賛否が起きている(写真・ロイター/アフロ)

日本はグループHの最終戦で、すでにグループリーグ敗退が決まっているポーランドに0-1で敗れたが、セネガルもコロンビアに0-1で敗れたため、勝ち点、得失点、総得点で並び、2つのフェアプレーポイントの差で辛くも決勝トーナメント進出を決めた。
 だが、後半37分から失点とイエローカードの危険を回避するため、セネガルとコロンビアが引き分けに終われば敗退するにもかかわらず、攻めずにボールを回した日本に対して会場は大ブーイングに包まれた。英国メディアも、その戦術の賛否に議論を投げかけた。

 英のインディペンデント紙は「日本がポーランドとの馬鹿げた茶番の一戦を握りつぶし裏口から16強へ」との見出しを取って、その戦術に対して批判的な見解を示した。

「日本が落ち着いて面白味もなく試合を抑え切ると、ボルゴグラードの周辺すべてにブーイングが鳴っていた。彼らは、日本の声援がそれを1000回以上掻き消してくれることを知っていた。日本は0-1での敗戦に乗っかるため自陣で目的のないパス回しというシュールなチーム判断を4万2000人以上の観衆と世界中の何百万というテレビ視聴者に見せて、なんとかセカンドラウンドへと駒を進めた」と続けた。

またポーランドも試合の終盤に消耗しきっていた状況を紹介。

「ポーランド側も、うだるような暑さの中で日本のボールを追って困らせることはなかった。中盤のヤツェク・ゴラルスキは、腰に手をあてただ立っていた。ゴールでは(キーパーの)ウカシュ・ファビアンスキががれきのようにラインのあたりに散らかっていたボトルの山から水をがぶ飲みしていた」
 その上で「これが本当に頂点の試合だろうか。ある意味、これは決勝トーナメントへ勝ち進むために日本が出た賭けの時間の長さが強調されたに過ぎない」と皮肉った。

 だが、その一方で、「試合終了のホイッスルから1、2分後、ニュースが飛び込んだ。セネガルがコロンビアに敗れ、日本が計算した賭けは成功した。サマラで試合後半に同点となれば、日本のわざとゆっくりした戦略はこっけいな失敗としてさらされるところだった。だがある点で、これはグループリーグ全体で彼らが見せてきたやり方を具現化していた。敗戦でも賢明さと勇気を見せ、彼らに与えられた疑いのない幸運をつかむことを許された」とも記した。

 また解任されたハリルホジッチ監督の後を受けて立て直した西野監督の手腕を「日本は機能障害を起こしたロッカールームの状況やベテラン選手との衝突という噂でヴァヒド・ハリルホジッチが解雇された数カ月前に混乱を見せていたチームだった。この短い数週間で西野・元技術委員長は主体性、戦略、戦うスタイルをチームにもたらした。落ち着いたビルドアップだが、切り替えは情け容赦ない速さで、日本はこの大会で多くを驚かせ、次に対戦するベルギーでも、かなりの脅威にさらされるだろう」と絶賛した。

 さらに「西野監督は他の部分でも賭けに出た。彼はポーランドがリードを取り、日本が敗退する可能性があったつかの間でさえ、聞きなれた名前の本田圭佑と香川真司をベンチに残した。彼はセネガル相手にミスを犯したゴールキーパーの川島永嗣への信頼も保ち、それは素晴らしいセーブとなって報いられた」と、決勝トーナメントに向けて主力を温存させ、GK川島に自信を取り戻させた西野監督の采配に高い評価を与えた。

 記事は決勝トーナメントについても考察。
「この試合は彼らの最高のパフォーマンスとはならなかったが、終わってみれば彼らには必要ではなかった。ワールドカップで、しばしばノーマークされる一方で、彼らの素晴らしいファンと少なくとも試合終了まで続く惜しみないエネルギーは日本の存在を大会で示している。ベルギーは彼らを軽く見れば危険を覚悟しなければならない」と締めくくった。