トランプ政権が相次いで関税措置などの通商政策を繰り出していることで、貿易摩擦は混沌とした状況になってきました。

中国への高関税措置に署名したトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)

 米国が最初のターゲットに定めたのは、最大の貿易赤字を抱える中国です。昨年4月、通商拡大法232条に基づいて、鉄鋼とアルミに関する関税の発動について検討を開始、今年の3月には関税措置が発動されました。鉄鋼製品には25%、アルミには10%の追加関税が課されています。

 この措置は主に中国を対象としたもので、欧州などは最初から対象除外となりましたが、日本は中国と同様、対象リストからは外されませんでした。しかし、米国企業への影響も考慮し、一部の日本製品については適用除外が発表されるなど、現実にはケースバイケースの対応を行っているようです。

 中国に対しては、追加関税の対象を広げる意向を示しており、18日には総額22兆円の輸入品に10%の追加関税を課すことを表明。中国が報復関税で対抗する場合、実行に移すとしています。

 一方、日本に対してもトランプ政権は攻勢を強めています。5月には日本の基幹産業である自動車と自動車部品について、最大25%の追加関税をかける可能性があることを表明。商務省に対して具体的な調査を指示しています。もし自動車と自動車関連部品に関税が課された場合、日本経済が大打撃を受けることはほぼ間違いないでしょう。

 トランプ氏は奔放な発言や行動が多いため、一連の関税措置の本当の狙いがどこにあるのか、見定められていません。一般的には11月に実施される中間選挙を意識した行動と言われており、そうであれば、秋までには何らかの成果が必要となるため、妥協点が探れる可能性があります。

 一方、トランプ政権はもっと長期的な戦略を持っているとの見方もあります。トランプ政権は、日本や中国と個別に自由貿易協定(FTA)の締結を狙っているとも言われています。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定のような多国間協定では、一方的に米国に有利な内容にすることはできません。しかし、FTAであれば個別交渉が可能ですから、米国の圧倒的な立場を利用して、自国に有利な内容に誘導していくのはそれほど難しいことではないと考えられます。

 もしFTAの締結が最終的な目的なのだとすると、交渉は意外と長期化するかもしれません。その間に関税措置が一部発動されるようなことになれば、世界経済にとってはマイナスとなるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)