東京都北区の職員が、生活保護費およそ4300万円を着服していたとして懲戒免職となりました。生活保護については、以前から不正受給の問題が指摘されていましたが、不正受給を公務員自身が横領目的で行っていたという話ですから、開いた口がふさがりません。

 懲戒免職になったのは、北区の生活福祉課に勤務する40代の職員と60代の元職員です。生活保護費を不正に引き出し、3000万円と1300万円を着服していました。区では40代の職員を懲戒免職とし、10人の職員を処分。区長らは給与を減額しています。元職員については退職金の返納を求めるとしています。両名は着服したお金を返納していないということで、区は40代の職員を告訴。60代の元職員についても告訴する方針と報道されています。

 日本国内で貧困状態にある人は約2000万人いるとされていますが、生活保護を受けている人は212万人しかいません。生活保護を受ける資格のある人の何%に給付が行われているのかを示す数字に捕捉率というものがありますが、日本ではおおよそ20%程度とされています。つまり支援を必要としている人の2割しかカバーできていないことになります。

 こうした状況から、生活保護制度の拡充を求める声がある一方、働く能力があるにもかかわらず不正に受給している人がいるという批判も根強くあります。

 生活保護の受給者の大半は、高齢者や障害者、傷病者など、明らかに支給される要件を満たす人ばかりですから、仮に不正があったとしてもごくわずかと考えられます。しかし財政状況が厳しいこともあり、生活保護の支給については国民から厳しい目が注がれてきました。

 こうした中、公務員が自らの個人的な利益のために生活保護費を横領するという事件が発生したことは、非常に嘆かわしいことといってよいでしょう。

 生活保護費を公務員が着服しているのは北区だけではありません。昨年8月には荒川区で同じく生活福祉課の職員が生活保護費を不正に引き出し、260万円を着服しています。また目黒区では生活保護者の預金を職員が着服するという事件も発生しています。

 立て続けに3件、こうした事件が発生している現実を考えると、生活保護費の着服が他の自治体でも行われている可能性があります。場合によっては徹底した調査が必要かもしれません。

(The Capital Tribune Japan)