テスラの関係会社が、米シカゴの高速地下交通システムを受注しました。8~16人乗りのEV(電気自動車)を30秒ごとに時速240キロで運行するという驚くべきものですが、もし順調に運行することができれば、交通システムに対する価値観を根本的に変える可能性があります。

写真:ロイター/アフロ

 シカゴ市から受注したのはテスラのCEO(最高経営責任者)を務めるイーロン・マスク氏が率いるボーリング・カンパニーです。同社はマスク氏のほかテスラの創業メンバーなどが出資する企業で、トンネル掘削を専門としています。マスク氏はかつて「地下にトンネルを掘れば交通渋滞などすぐに解決する」と発言していましたが、当時は、マスク氏一流の誇張した表現と多くの人は捉えていました。しかし、今回、受注したシステムはマスク氏の構想をそのまま実現するプランとなっています。

 これまで公共交通システムの多くは鉄道が担ってきました。最近では軌道上をゴムタイヤなどで走行する、いわゆる新交通システムも普及していますが、これも鉄道の延長線上にある考え方といってよいでしょう。

 しかしボーリング社のシステムの基本的な考え方は、地下の専用道路を無数のEVが走るというもので、鉄道ではなく自動車に近い概念です。詳細は明らかではありませんが、自律的に制御できる多数のEVが衝突しないよう、相互の車間などを確保しながら走行する仕組みと思われます。

 最高時速は約240キロで、約28キロの距離があるシカゴ市内からオヘア国際空港までを12分で結びます。30秒間隔で運行できるということなので、待ち時間もそれほど多くはないでしょう。現在、シカゴ市内と空港までは交通渋滞もあり移動に1時間以上かかっているそうですが、このシステムがあれば一気に解決することができます。

 まったく新しいシステムですので、問題なく運行にこぎ着けられるのかはまだ分かりませんが、もし順調に運行できた場合には、これまでの概念を一新することになります。

 拠点間の大量輸送は鉄道を使って行うというのが常識であり、都市計画も鉄道を中心にプランが立案されてきました。しかしこのシステムはこうした常識を根本から変える可能性があります。都市内の移動でも地下鉄ではなく、地下道に無数のEVを走らせた方が、もしかしたら効率がよいのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)