米国とイランの関係が再び悪化し、米国は各国に対してイランから石油を輸入しないよう要請を開始しました。日本は長くイランと友好関係を保ってきましたが、米国からの要請も無視できません。日本はイランと米国の間で板挟みの状態となりそうです。

イランの国旗(ペイレスイメージズ/アフロ)

 もともとイランと米国は非常に親密で、イランが王政だった1970年代には多くの米国企業がイランに進出していました。当時のイランは欧米文化の輸入に積極的で、イスラム国家であるにもかかわらず街にはミニスカートの女性が闊歩していたほどです。

 日本は親米国家ということもあってイランに積極的に進出しており、イラン・ジャパン石油化学(IJPC)という巨大プロジェクトもスタートさせていました。しかしイラン革命が起こり、王政が倒れると状況が一変します。

 革命政府は街から欧米文化を一掃し、反米姿勢を強く打ち出しました。米国はイランと対立することになりましたが、日本はこれまでプロジェクトに多額の資金を投じたという事情もあり、イランとの関係を維持。結果として米国とは一線を画す独自外交を行うようになったのです。

 その後、米国とイランは長く対立してきましたが、オバマ政権が対イラン政策を転換。2015年にはイランとの間で核合意が成立し両国は和解しました。日本政府はこれをチャンスと捉え、イランとの投資協定交渉を開始しましたが、ここに立ちはだかったのがトランプ大統領です。

 トランプ氏はイランを敵視しており、今年5月には核合意の一方的な破棄を宣言。イランに対する経済制裁を再開すると表明していました。今回の要請はこれを受けての措置と思われます。

 日本はイランと独自外交を行っているわけですが、米国は最大の同盟国でもあるため、板挟みの状況となっています。世耕経済産業相は「外交上の理由から言及を控えたい」と述べるにとどまっており、イランに対するスタンスははっきりさせていません。

 一方、イランとの関係維持を強く望むEU各国は、米国に対して制裁を実施しないよう強く求めています。トランプ氏がそう簡単に引き下がるとは思えませんので、この問題は長期化する可能性があります。

 もっとも日本がイランから輸入する石油の量は全体の5%程度ですので、仮に輸入が停止されたとしても、経済的にはそれほど大きな影響にはならない可能性が高いでしょう。

(The Capital Tribune Japan)