流通大手で違法な経緯のウナギを排除する取り組みが進む。(写真はイオン葛西店、撮影:具志堅浩二)

 ニホンウナギやヨーロッパウナギの絶滅が危惧されている問題で、流通大手が密漁などを経て養殖されたウナギを店頭から排除したり、代替製品として豚バラのかば焼きを提供したりするなど取り組みを進めている。目指すのは「持続可能なウナギ調達」だが、実現は可能だろうか。

ウナギ完全養殖の実験成功から6年、いまだ市場に出回らない理由とは

乱獲進み、減少するウナギ

ニホンウナギ稚魚 国内採捕量の推移(水産庁資料より)

 国内で生産されるニホンウナギのほとんどは、天然の稚魚(シラスウナギ)を採捕して池で育てる養殖ウナギだ。水産庁の資料によると、国内のシラスウナギ採捕量は、1960年代には年間で200トンを超えた年もあったが、その後減少し、1984年以降は30トン未満で推移している。要因としては、海洋環境の変化、親ウナギやシラスウナギの乱獲、生息環境の悪化などが指摘されている。密漁などで違法に採捕されるケースが問題になっている。

 国際自然保護連合(IUCN)は2014年、ニホンウナギを「絶滅危惧種IB」(近い将来、野生での絶滅の危険性が高い)に指定した。絶滅危惧種に指定されたのは、ニホンウナギだけではない。ヨーロッパウナギは2008年、「絶滅危惧種IA」(ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い)に、アメリカウナギは2014年にニホンウナギと同じ「絶滅危惧種IB」に指定された。インドネシアウナギも2014年に「準絶滅危惧種」(現時点で絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化により「絶滅危惧」に移行する可能性がある)に指定されている。

イオンは「ウナギの食文化を継承したい」

イオンの三宅香執行役

 今年6月18日、イオンは、東京都江戸川区のイオン葛西店で記者会見を開き、ウナギ資源の枯渇を防いで持続可能な調達を実現するための「ウナギ取り扱い方針」を発表した。同社が販売するウナギのうち、ニホンウナギは2023年までに「100%トレース可能」なウナギの取り扱いの実現を目指すという。トレース可能というのは、シラスウナギが採捕されてから、店で販売するまでの経緯が追跡できるという意味だ。密漁を経て養殖されたウナギの流通に歯止めをかけるという狙いがある。

 同社が取り扱うウナギは、ニホンウナギとインドネシアウナギの2種。インドネシアウナギについては、WWF(世界自然保護基金)ジャパンらとともに、インドネシアの養殖業者が資源枯渇や環境悪化を防いで、養殖を持続できるようにするためのプロジェクトに取り組むという。ヨーロッパウナギとアメリカウナギは、科学的に資源の回復が証明されるまで取り扱いを中止する。