[画像]若狭湾で発見された旧日本軍の潜水艦「呂500」の艦橋前部(提供:ラ・プロンジェ深海工学会)

 日本海の若狭湾沖の海底に沈められた旧日本海軍の潜水艦「呂500」など3隻を発見したと、九州工業大の浦環(うらたまき)特別教授らの調査チームが3日、記者会見を開いて発表した。「呂500」は第二次世界大戦中の1943年、ドイツから譲渡された潜水艦(Uボート)。3隻はいずれも1946年4月30日に連合軍によって若狭湾沖で海没処分され、その後72年、沈んだ位置が不明だったが、今回の調査で位置と名前を特定した。

【動画】潜水艦「呂500」発見に関する会見の模様

若狭湾で3隻の位置と艦名を特定

 調査を行ったのは、浦氏が代表理事を務める一般社団法人「ラ・プロンジェ深海工学会」。2018年6月18日から21日までの4日間、小型底引き漁船を借り切って、音波を発射して海底の地形を計測する「マルチビームソナー」と、遠隔操縦式の無人潜水機「ROV(Remotely Operated Vehicle)」を使って調査を実施した。

 その結果、呂500のほか「伊121」「呂68」の3隻を若狭湾にある冠島西方で見つけた。「呂500」は水深88メートル、「伊121」は同91メートル、「呂68」は同83メートルの海底にあった。3隻とも流線型の船体やブリッジがほぼ原型をとどめているという。同会では、このマルチビームソナーとROVの画像を確認し、3隻の艦名を特定した。

 「呂500(ドイツでは「U-511)」は1941年12月8日竣工。奇しくも日米が開戦した日と同じ日だった。1943年に、日独の技術交流の一環として日本に譲渡された。ドイツから譲渡されたUボート2隻のうちの1隻だった。このほか「伊121」は川崎重工業製、「呂68」は三菱重工業製。

 4日間の調査の模様は、情報通信研究機構(NICT)とドワンゴの協力を得て、超高速インターネット衛星「きずな」を使って、ニコニコ生放送で生中継された。

 同会では、昨年も連合軍によって海没処分された旧日本海軍の潜水艦の調査を実施。長崎・五島列島沖に沈んでいる潜水艦が、旧日本海軍の「伊58」であることをつきとめている。

 沈没した潜水艦を探しだす意義について、浦氏は「どこに沈んでいるのかわからなかった潜水艦を見つければ、埋もれていた歴史が浮かび上がる。歴史を知るということは、同じことを繰り返さないためには何をすべきかなど、未来を勉強するための基礎となる」と強調した。

 潜水艦にとどまらず、今後は沈没船の調査にも取り組む方針。浦氏は「東シナ海に5隻沈んでいるという情報がある。この5隻がどのような船なのかを調べたい」と抱負を語った。

(取材・文:具志堅浩二)