人口が減少し、社会の成長が見込めない時代といわれます。一方で、科学技術の進化が、高齢化の進む日本の未来を、だれにとっても暮らしやすい社会に変えるのではないかともいわれています。わたしたちは一体どんな社会の実現を望んでいるのでしょうか。

 幸福学、ポジティブ心理学、心の哲学、倫理学、科学技術、教育学、イノベーションといった多様な視点から人間を捉えてきた慶応義塾大学教授の前野隆司さんが、現代の諸問題と関連付けながら人間の未来について論じる本連載。14回目はシステムでものを見る考え方を取り上げていきます。


システムデザイン・マネジメント、ヒューマンラボの基本的な考え方

[イメージ]現代は閉塞感の時代といわれます。現実の矛盾と向き合うには私たちにはどのような思考が必要なのでしょうか(ペイレスイメージズ/アフロ)

 今日から次々回まで(14~16回)は、2010年に出した『思考脳力のつくり方 ── 仕事と人生を革新する四つの思考法 』(角川ワンテーマ21(新書)、2010年4月)についてお話ししたいと思います。

 この本は、2008年に、新しくできたシステムデザイン・マネジメント研究科(SDM)に移って、そこでヒューマンシステムデザイン研究室(別名:前野研究室、略称:ヒューマンラボ)を始めた頃に、SDMやヒューマンラボの基本的な考え方を私なりにまとめた本なんです。

 ですから、ヒューマンラボに入ってきた人の必読書、もちろん、他の方にも読んでいただきたい本、という感じで書きました。当時、角川書店の編集の方から、何を書いてもいい、と言われたので、「マニアックなシステム論なので売れなくてもいいですか?」と聞いたところ、売れなくてもいいと言われ、好きなように書きました。案の定、あまり売れなかったですね。2刷までは行きましたが。

 もちろん、自分としては、渾身の一冊。これまでに書いたすべての本の中で最も中身が濃い本だと思います。書く中で、自分の考えも整理できました。当時行っていた「システムの科学と哲学」という授業の教科書的な位置付けでもありました。先ほどもちらっと書きましたが、「システム論」の本です。

 で、ちょうど、各章のまとめを書いたのに、厚くなるからとカットを余儀なくされた原稿があるんですよね。これを読むと、全体像がわかるのではないかと思います。そこで、今回も幻の原稿をここに掲載したいと思います。

 それから、第5章に関しては、本では「要素還元思考」「システム思考」「ポストシステム思考」「システム思想」の例が10個載っているのですが、実は、こちらも、もともとは例が15個あったのです。こちらも、本に載らなかった11番目から15番目までの例を、次回(連載15回目)公開します。

 さらに、最後に、当時のグーグルの話も書いていましたが、ここもカットしました。せっかくの機会なので、こちらも次々回(連載16回目)に公開します。