ベルギー戦後に本田が抱きしめたのは乾だった(写真・ロイター/アフロ)

ワールドカップ・ロシア大会での日本代表の戦いはベスト16で終わり、MF本田圭佑(パチューカ)、MF長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)らが相次いで日本代表からの引退を表明。日本サッカー界における、ひとつの時代が終わりを告げた。

 前者は開幕直前に32歳になり、後者はフィールドプレーヤーでは最年長となる34歳。ともに3大会連続でワールドカップの舞台に立った両ベテランが握るバトンのうち、長谷部が8年間も左腕に巻いてきたキャプテンマークは、年齢的にも代表における実績でも29歳のDF吉田麻也(サウサンプトン)に託されるだろう。

 ならば、本田が担ってきた大黒柱の座は誰が受け継いでいくのか。本田はベルギー戦後に、新生日本代表を引っ張っていく選手として「ふさわしいヤツは、今回のワールドカップで何人か見つけている」と言い残している。一人ではなく複数と示唆した点が、ある意味でポイントとなる。

 2010年のワールドカップ・南アフリカ大会直前に、当時24歳だった本田は岡田武史監督(現JFL・FC今治オーナー)の大抜擢を受けて大黒柱を拝命。ここぞという場面でゴールする勝負強さ。有言実行でセリエAの名門ACミランの「10番」を背負った上昇志向。そして、失敗や批判を成長への糧に変える強靭なメンタルを融合させて、背中とプレーの両方で日本代表をけん引してきた。

 3つの要素のなかで勝負強さに関しては、MF乾貴士(レアル・ベティス)を念頭に置いたのではないだろうか。セネガル代表とのグループリーグ第2戦で一時は同点に追いつくゴールを決め、ベルギー戦ではリードを2点に広げ、深夜の日本列島を熱狂させる鮮やかなミドルシュートを突き刺した。

 ひとつの大会で複数のゴールを決めたのは、2002年の日韓共催大会のMF稲本潤一(現北海道コンサドーレ札幌)、そして2010年大会の本田自身に続いて3人目。ベルギー戦後にはピッチ上で号泣する乾のもとへ駆け寄り、抱きしめながらねぎらう本田の姿があった。

 開幕直前に30回目の誕生日を迎えた乾は、4年後の次回カタール大会を34歳で迎える。自身と同じドリブルと俊敏性を武器とする、23歳のMF中島翔哉(ポルティモネンセSC)に代表される若手が多いこともあり、自身のインスタグラムにはこんな言葉を綴っている。

「自分のポジションは若く、才能を持った選手が多いのでもう代表でのプレーはあるかわかりませんが、僕のサッカー人生はまだ終わりません」(原文のまま)

 代表通算6ゴールの乾だが、そのうち4つをこの1ヵ月の間に決めている。西野ジャパンの第1号得点者も乾だった。憧れ続けてきたラ・リーガのSDエイバルへ移籍した2015年8月を機に成長速度を加速させ、来シーズンからはレアル・ベティスへステップアップする。

「どんな状況でもサッカーを楽しく、いつまでもサッカー小僧でやっていきたいと思います!!」

 同じインスタグラムへの投稿のなかには、至福の喜びに満ちた心境も書き込まれている。それに導かれる形でこれからも成長を続けていけば、誰が次期日本代表監督に就任してもラブコールを送られる存在となるはずだ。