日銀が積極的に株式を購入していることから、多くの企業で日銀が筆頭株主など大株主になっています。これについては問題点を指摘する声が多いのですが、具体的にはどのような弊害があるのでしょうか。

写真:ロイター/アフロ

 日銀は量的緩和策の一貫として、ETF(上場投資信託)を通じて企業の株式を購入しています。すでに購入した株式の総額は25兆円程度になっていると考えられます。東証一部の時価総額は約650兆円ですから、単純計算すると3.8%が日銀保有ということになります。

 日銀によるETFの保有は、信託銀行経由なので直接、株主名簿に出てくるわけではありませんが、いくつかの企業では日銀が筆頭株主になっているところもあります。これに加えて、公的年金の積立金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も大量の株式を購入していますから、日本企業は実質的に政府もしくは関係機関の支配下にあるといってもよい状況です。

 これに対しては識者から弊害を指摘する声が上がっています。短期的には市場の流動性に問題が出てくる可能性があります。創業者などが多くの株式を保有している企業の場合、市場で流通する株式(浮動株)の量はそれほど多くありません。ここで日銀やGPIFが大量に買い占めてしまうと、浮動株が少なくなり、株価が不安定になります。また日銀が売りに転じた時の影響も極めて大きくなってしまうでしょう。

 長期的にはコーポレートガバナンス上の弊害も出てきます。日銀やGPIFは立場上、経営者をクビにするなど、株式の議決権を行使することはできません。そうなってくると、大株主は経営に対してチェックしないということになり、経営者はやりたい放題が出来てしまいます。一方、日銀が過度に経営に介入すると、実質的に国営企業となってしまい、資本市場が機能しなくなってしまいます。

 こうした状況を総合的に考えると、日銀の保有比率はもっと落とした方がよいわけですが、ここまで日銀が株を持ってしまってからでは、売却するのは容易なことではありません。下手に売ってしまうと、自らの売りで株価を暴落させてしまうリスクもあります。前に進むのも、後ろに戻るのも難しい状況といってよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)