政府は6月19日、2018年版の自殺対策白書を閣議決定しました。日本は自殺が特に多い国として知られていますが、対策はあまり進んでいません。

自殺者数の推移(自殺対策白書より)

 日本における昨年(2017年)の自殺者数は2万1321人で、自殺者数自体は8年連続で減少しています。過去最多を記録した2003年には3万4427人が自殺していましたから、15年で約3分の2に減少したわけです。しかしながら、国際的に見ると日本の状況は深刻です。

 日本における10万人あたりの自殺死亡率は約20人ですが、米国は13.4人、ドイツは12.6人、英国は7.5人と先進国の中では日本が突出して高くなっています(2013年以降のデータで比較)。宗教上の理由による違いを指摘する人もいますが、正教が多いロシアの自殺率は日本並みですから、キリスト教圏が必ずしも低いというわけではありません。韓国は28.5人と日本よりさらに高くなっています。

 欧米先進国で自殺率が低く、ロシアや韓国、日本の自殺率が高いという現実を考えると、経済的な豊かさや社会の寛容さなど、経済的、心理的な余裕の有無が大きく関係している可能性が高いとみてよいでしょう。

 自殺する人は無職者がもっとも多く全体の半分以上を占めています。次に多いのが勤め人で約3割が該当します。理由としては健康問題が最多で、次に経済問題、家庭問題と続きます。ただし健康問題と経済問題は関係している可能性がありますから、このあたりは柔軟に捉える必要がありそうです。

 どこの国でも自殺率は女性よりも男性の方が圧倒的に高いのですが、日本の女性の自殺率は男性の4割以上あり、各国と比較すると女性の自殺率が高くなっています。各国と比較して女性の自殺率がなぜ高いのかはっきりとした理由は分かりません。

 政府は昨年、自殺総合対策大綱の見直しを行っており、地域レベルの実践的取り組みに対する支援強化や、調査研究の推進、人材確保・育成といった項目があらたに盛り込まれました。若年層を中心にSNSが生活に根ざしていることから、SNSを使った対策などについても検討が進められています。自殺は対策を強化することで確実に件数を減らすことができますから、積極的に取り組む価値があるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)