W杯ロシア大会に帯同した久保建英らアンダー世代へかかる期待値は高い(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 日本サッカー協会(JFA)との契約が満了する今月末をもっての退任を同席したJFAの田嶋幸三会長が明かす予期せぬ展開となった5日のワールドカップ・ロシア大会の帰国記者会見で、日本代表を率いた西野朗監督も意外な言葉を残した。

 強豪ベルギー代表と死闘を演じた経験を踏まえて、次回カタール大会でのベスト8進出へ向けて、日本サッカー界へ何を伝えるのか――ロシアの地で得た財産を問われた西野監督は「各国ともA代表が一朝一夕に、爆発的に成長することはない」と断りを入れながらこう続けた。

「日本のアンダーカテゴリーの各代表チームは本当に期待できるし、世界とも渡り合える力をもっていると思っています。スケールが大きく、ダイナミックで、なおかつ日本人らしいテクニックを使ったサッカーができる。U-20の選手たちが、A代表に取って代わる状況もあると感じています」

確かに昨年のU-20代表、U-17代表の年代別ワールドカップを戦ったメンバーを見れば、可能性を秘めた魅力的なプレーヤーが多い。U-20代表でMF堂安律がFCフローニンゲンへ、DF冨安健洋がシント・トロイデンへ移籍。U-17代表ではDF菅原由勢が名古屋グランパスで、FW中村敬斗がガンバ大阪で、それぞれ飛び級でプロになった。そして、その象徴が17歳の逸材・久保建英(FC東京)となる。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の電撃解任を受けて西野ジャパンが慌ただしく発足したのが4月12日。図らずも表舞台に立った西野監督はそれまでの2年間を、裏方的な存在となるJFAの技術委員長としてハリルジャパンをサポートし、同時進行で「育成日本」の復活に注力してきた。

 前身のワールドユース時代から、U-20日本代表は7大会連続で世界の舞台に立ち、1999年大会では準優勝の快挙を達成。アジア各国から「育成日本」として目標にされてきたが、2009年大会からは4大会続けてFIFA・U-20ワールドカップへの出場権を逃してきた。

 西野氏が技術委員長に就任したのは2016年3月。U-20およびU-17ワールドカップ出場をかけたアジア予選が行われた年であり、ゆえにアンダー世代を復活させるーーという重要なタスクを担った。両年代別代表をサポートしながら予選にフル帯同してきた西野氏の狙いを、田嶋会長はこう説明したことがある。

「西野さんが把握した世界やアジアとのギャップを、トレセンのトップコーチを介して、全国の指導者や子どもたちに落とし込んでいく。年代ごとの世界基準のもとで行われるべきトレーニングがあることを、できる限り多くのクラブや指導者たちに伝えていきました」