[写真]6月の米朝首脳会談で、合意文書にサインしたトランプ大統領(右)と金正恩委員長。その後ろでポンペオ米国務長官と正恩氏実妹の金与正氏が文書を交換している(ロイター/アフロ)

 6月の「米朝首脳会談」で、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「完全な非核化」で合意しましたが、具体的な非核化へ向けた詳細の議論はこれからです。

 アメリカのポンペオ国務長官は3回目の訪朝をして、7日まで金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長と協議を行いました。米政府は「完全かつ検証可能で不可逆的な核解体」(CVID=Complete, Verifiable, and Irreversible Dismantlement)を北朝鮮側に求める立場ですが、こうした「完全な非核化」「CVID」の実現までには、どのようなプロセスが必要だと考えられるでしょうか。元外交官で元軍縮代表部大使を務めた美根慶樹氏に寄稿してもらいました。

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非核化への検討は進んでいる?

 6月12日、シンガポールで行われた米朝首脳会談については、「非核化」の扱いが不十分だとする批判的な見方がありましたが、トランプ大統領は、「非核化」の合意は明確であり、具体的な問題は双方の高官で協議を継続することになっていると強調しました。

 そして、ポンペオ米国務長官は日米韓外相会談のため訪問したソウルで13日、「北朝鮮の非核化を2年半程度で達成できると考えている」と述べました。米政府は、非核化にはトランプ米大統領の1期目の任期が終わる2021年1月までかかると見ているわけですが、無理のない考えであり、むしろ「非核化」の検討が進んでいることの証左だと思います。

 米朝の協議がどのように進められるか、詳細は分かりません。予備的接触は既に開始されている可能性もあります。結果がどのように発表されるのかも今の時点では不明です。

 ともかく、「非核化」のために協議しなければならない問題は多数あります。

非核化までの主なプロセス

 非核化の流れは主に次のようになります。なお、一部、順序が前後する可能性があります。

(1)核開発中止の「決定」=この中には核兵器の廃棄の決定が含まれます。
(2)核兵器・施設の「解体・転換」=決定の実行であり、核弾頭の解体、平和目的利用への転換などです。
(3)核兵器、核関連物質の「廃棄」=取り出された核物質は安全に処理されなければなりません。濃度を下げるとか、地中に埋めることなどです。爆発させることなどは危険が大きすぎるのでできません。 
(4)非核化の「申告」=上述の一連の処分について北朝鮮政府がIAEA(国際原子力機関)に「申告」することです。
(5)申告の「検証」=申告内容が正確かの検証です。査察はその一部です。