大学生3人がクラウドファンディングを活用し、フィリピンのスラム街に行く資金の提供を呼びかけたところ炎上騒ぎとなり、企画そのものを取り下げるという騒ぎがありました。

 企画を立案したのは関西の大学生3名です。著名なクラウドファンディングのひとつであるCAMPFIRE上に「スラム街の暮らしを肌で感じたい!」という企画をアップ。スラム街の現状を日本に伝え、現地の子供たちに夢を与えたいとして25万円の資金を募集していました。内訳は旅費が21万円、雑費が4万円となっています。

 しかしプロジェクトがネット上で話題になるにつれて、危険である、アジアの貧困を舐めているといった批判的な声が次々と寄せられるようになりました。資金調達の形式は満額に達しなくても、集めた金額を獲得できるというものでしたが、16万円集まった段階で、大学生3名はプロジェクトの中止を決定。運営側はそれまで集めた資金を支援者に返金する手続きを行いました。

 スモーキーマウンテン(投機されていたゴミは現在は撤去済み)に代表されるフィリピンのスラム街は、経済成長によって以前より状況は改善したといわれていますが、現在でも観光客が物見遊山でいくような場所ではありません。

「子供達に夢を与えたい」という抽象的なメッセージが多いことや、具体的にどのような映像を残すのかについて詳細な情報が乏しいことなどを考え合わせると、十分に練られた企画ではないと思われます。実際、まったくの準備なしで現地入りすることにはリスクも伴うでしょう。

 ただ、フィリピンのスラム街を見に行きたいという話は特段、珍しいことではなく、何十年も前から、一部の若者が必ず思い立ってきたことです。実際、現地に行った若者もそれなりにいるはずです。

 いろいろな価値観がありますから、それぞれが正論ではありますが、せっかく多くの人が集まっているプラットフォームですから、もう少し建設的なやり方が模索できたはずです。

 プロジェクトを立ち上げた学生も、批判を受けたからといってすぐに取り下げてしまうのではなく、ネット上でのコミュニケーションを試みた方がよかったでしょう。最終的にプロジェクトを取り下げる形になっても、それまでの経緯や心境の変化が明らかになれば、次に同じような企画を提出する人にとって有益な情報となるはずです。こうしたやり取りができることがクラウドファンディングの利点ですから、その意味では少々残念な結果といえるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)