1784年のウォール街(『アメリカ大財閥暴露』唐島基智三訳著より)

 ハーレム鉄道株の買い占めで、ライバルのコーネリアス・ヴァンダービルトに敗北したダニエル・ドルーは、エリー鉄道株で再び勝負を挑むことになります。当時の買い占め合戦は、頭脳と頭脳の対決というなまやさしいものではなく、ときには私兵や大砲まで持ち出される、狡智と暴力を用いた闘争になったこともあるそうです。その状況下で、ドルーは常にウォール街の中心にいました。ドルーがやがて、一大事件を引き起こし、ウォール街を追われるまでを市場経済研究所の鍋島高明さんが解説します。


  エリー鉄道株で、再びヴァンダービルトと相まみえる

 ハーレム鉄道株でドルーはヴァンダービルトに締め上げられ敗北を喫するが、次なるエリー鉄道株で両人は再び相まみえる。エリー鉄道では両雄のほかにジェー・グールドやジェームス・フィスクなども参入して大乱戦を演じるが、この時代はウォール街200年史上における最も華やかな時代であった。熊田克郎は『ウォール街とアメリカ経済の発展』の中でこう記している。

 「1860年より1870年にかけた鉄道株買い占め戦はウォール・ストリート史上にも類例の稀な興味ある一章を成す。思惑戦はまずハーレム株を中心にドルーとヴァンダービルトによって展開され、やがて2人の思惑戦の目標はエリー株の争奪に向けられ、しかもグールド、フィスクの如き人物の参加によって乱闘はいよいよ激烈さを加えた」
  

【連載】投資家の美学