#10 マジッドが思い描く夢

[写真]モスル旧市街地からSNSを通じてリアルタイムで発信するマジッド

 戦争による負のループから抜け出そうとして、彼はどんなに大変でも大学に通っているのだろう。取材から帰ってきて、そのまま夕方から大学に行くこともあった。一体いつ寝ているのか心配になるくらいだった。

 「将来は映画監督かジャーナリストになりたい」とマジッドが言った。その志の通り、前線に行く時は彼もNikonのカメラを肩からぶら下げ、時にはインスタグラムやフェイスブックを通してリアルタイムに前線からライブ中継をするのだった。

 たまたまクルド人としてシリアに生まれ、その結果、戦争の中を生きる運命になったマジッド。頭が切れ、人柄も明るく、生まれる国が違えば優秀なビジネスマンか起業家にでもなっていただろう。人は生まれる時代や国、民族を選べない。どの世界に生まれ落ちるか、その瞬間においてすでに、人生の難しさが変わってくる。公平や平等などあり得ないという現実を、さまざまな国で私は目にしてきた。変える事のできない、自分が置かれた環境の中でも夢を見つけて、どう生きるのか。若いマジッドを見て、自分の生き様を省みた。