#11 きょうも戦場の最前線

[写真]モスル旧市街地に入る前に、防弾ベストやヘルメットを装着して備える各国のジャーナリストたちとフィクサーたち

 昨年4月から5月にかけてモスルを訪れた後、私は再び7月にもモスルを訪れた。その時、ジャーナリストとフィクサーたちの溜まり場になっているカフェで、いつも見る馴染みの顔がいないことに気づいた。ロカンという名前の女の子で、いつもマジッドたちと一緒にいる仲良しのフィクサーだった。

 彼女はどうしたのかと聞いてみた。「ああ、彼女は難民申請が上手く通ってオーストラリアに引っ越したよ」。シリア人のカフェ店員が言った。彼らは、このカフェの店員も含めて、ほとんど皆が泥沼の戦争になってしまったシリアから逃れてきた難民だったのだ。生きるための手段として、それぞれが自分のできる仕事を選んでいるだけなのだ。

 フィクサーもその一つに過ぎない。この地域がやがて落ち着き、雇い主であるメディアが去れば、彼らは失業することになる。その時、彼らはどうするのだろうか? 祖国に帰ることができるのだろうか? 賢い彼らはちゃんと先を見据えていて、中には次のビジネスを考えている者もいる。

 私は今でもマジッドとフェイスブック上で繋がり、彼が日々フィクサーとして活動していることを見ることができる。日々目にする最前線の現場から送られる写真や映像たち。その裏には、その撮影者たちとともに命をかけている現地の人間たちがいるのだ。

 彼らなしには外国のメディアが取材をすることは不可能である。外国人に加担していると見られ、誘拐されて殺されることや、戦闘の現場で死ぬこともある。取材中の事故で亡くなった時以外、彼らの名前が表に出ることは決してないが、フィクサーこそが、紛争の現場で何が起こっているのかを伝えるのに最も重要な影の立役者なのだと思う。