#05 一瞬で兵士と打ち解ける

[写真]検問所のイラク軍兵士と冗談を言い合うマジッド

[写真]ISと戦うモスル郊外の村の住人と一緒に笑顔を見せるマジッド

 いつも険しい表情で、絶え間なく鳴るスマートフォンで各所への対応に追われるマジッドだが、現場に出て、地元の住人や軍・警察関係者と接する時はいつも笑顔だった。それが彼のフィクサーとして成功したテクニックの一つなのだろう。

 モスルの町にたどり着くには、当時おそらく30以上の軍の検問所を突破する必要があった。数百メートル、数キロごとに完全武装のペシュメルガ(クルド人部隊)とイラク軍に止められ、身元を照会された。許可証を持っていなければジャーナリストだろうがなんだろうが、問答無用で追い返される。しかしマジッドが笑顔で運転席から兵士たちに挨拶をすると、彼らは緊張を解いて笑顔になり、友達同士のように和やかに会話を始める。検問所の兵士たちとタバコを交換し合ったり、時には紅茶をご馳走になったりすることもあった。

 助手席に日本人が座っていると分かると、兵士たちは興味津々に話しかけてきた。「お前はジャッキー・チェンか?」。みんなしてカンフーのポーズを取ってくることもあった。そのうちに、毎日同じ道をほぼ顔パス状態で通過すると顔を覚えてくれて、笑顔で挨拶する仲になった。彼が軍や警察関係者からも信頼を得ているのが分かる瞬間だった。軍や警察の中でも存在が知られているのは、何かあった時に命に関わるのでありがたい。