#06 砲弾の中の奇妙なランチ

[写真]モスルの前線でイラク警察軍のスナイパー陣地からIS支配地域を偵察するマジッド

[写真]激戦の続くモスル旧市街地でスナイパーのいる通りを駆け抜けるマジッド

 激しい市街戦が続いていたモスルでは、ISのスナイパーと迫撃砲の応酬が恐ろしかったのを覚えている。たった数百メートル先のIS陣地からスナイパーに狙われながら大通りを幾度もマジッドと一緒に全力疾走した。ライフルの乾いた発砲音が、破壊され尽くした瓦礫の街に響き渡る。「その音が聞こえるという事は、弾は自分に当たっていないから大丈夫だ」。そう言い聞かせながらマジッドの後ろを次の遮蔽物めがけて走る。

 迫撃砲が空気を切り裂いて飛んでくる音が聞こえた瞬間、彼に体を強く引っ張られ、物陰に押し込められた。直後に砲弾の炸裂音が響いた。重さ15キロ近くもある鉄板の入った防弾ベストもヘルメットも、ただの気休めに過ぎない。弾の当たりどころが悪かったり、近くに迫撃砲が落ちたりすれば、破片で体を切り裂かれて死ぬ。

 マジッドとモスルの前線を取材した数日後、全く同じ場所で別のフィクサーが撃たれて大けがを負った。フォトグラファーを前線に連れていくということは、彼ら自身も同じく命を危険に晒すということなのだ。後日、スナイパーの弾が届かない路地裏に座り込んで、マジッドと一緒にイラク軍からもらった昼ご飯を口に放り込んだ。ISが飛ばすドローンが空中を行き交い、迫撃砲が着弾する。凄まじい撃ち合いの音が聞こえる前線での奇妙なランチタイムだった。