石原さとみ(撮影:志和浩司)

 パステルブルーのふんわりとしたワンピースを身にまとい、髪を振り乱しながら、赤い自転車を走らせる。セリフはない。荒い息遣いで、とにかく走る。

 石原さとみが演じるのは、華道の名門「月島流」本家の長女にして天才華道家、月島もも……のはずだが、とてもそうは見えない。意表をついたツカミは問答無用で、ドラマの世界にぐいぐい引きずり込もうとする。「高嶺の花」(日本テレビ系、水曜・午後10時)は、こうして11日にスタートした。

 ももが自転車でたどり着いた公園には、半年前、挙式当日に白無垢姿の自分に「申し訳ありません」と土下座して逃亡した婚約者とその妊娠中の妻がいた。ももは、警察からつきまといを禁じられているにも関わらず会いに行ってしまったのだ。

 気になる、初回平均視聴率は、11.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、好調のスタートとなった。

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高嶺の花なれど、手の届きそうな女性 オンとオフのギャップを石原さとみが好演

 華道の名家の令嬢なのに、婚約者に逃げられるという辱めを受け自我崩壊。なんともやるせない役どころなのだ。警察で注意を受けたももは、帰途、再び自転車に乗るが、走行中に転倒し、商店街の自転車屋にボロボロの状態で現れる。自転車もボロボロで、せっかくのきれいなワンピも泥まみれ。修理を依頼するために立ち寄った自転車店の店主、峯田和伸演じる風間直人(通称:ぷーさん)が、今後の新たな恋の相手になるのだろう。

 以降、まるで友だちのような距離感まで接近する二人は、番組の宣伝フレーズにある“美女と野獣の超・格差恋愛!”と丸めてしまうと単純なラブストーリーに聞こえてしまいそう。ももは華道界においてはすごい人物なのだが、市井に降り立てば、喜怒哀楽を丸出しにした親しみやすい美人。ぷーさんの友だちからは、“学年で4番目くらいの美人”“ワンチャン(=ワンチャンス)あると男に思わせるタイプ”と言われ、ムカつきながらも悪い気持ちはしていない。そんな演技をサラリとこなす、石原は本当におもしろい女優だ。