写真:アフロ

 皆さんはMBAという言葉をご存じだろうか。

 MBAとは経営管理修士のことであり、Master of Business Administrationの略である。経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位だ。

 かつては海外のビジネススクールに留学して取得する人が多かった学位ではあるが、近年では、日本国内でもMBAが取得できる大学院も増えてきた。修了には必要な単位数を一定以上の成績で修める必要があり、全日制の場合、約2年間で修了するのが一般的である。

 筆者は今、このMBAに挑戦している真っ最中だ。ちなみに、筆者が在籍しているのは、SBI大学院というオンライン環境でMBAを取得できる大学院である。基本的な講義はeラーニングとなっており、ディスカッションやプレゼン、ゼミでの活動などは必要に応じてビデオ通話を活用した対面にて行う。

 筆者がMBAに挑戦しようと思った理由は2つある。まず1つ目だが、特別支援学校の高校を卒業後、一般的な大学に進学してみたいという気持ちがもともと強くあったことだ。

 それは特別支援学校という障がい者の世界ではない、もっと別の世界で学びを得てみたかったからだ。しかし、筆者は寝たきりの生活なので、日常生活すべてにおいて介助が必要である。家から大学まで通うことのほかにも、教室移動、講義中のノート取り、テスト問題への記入など、何かと介助が必要となる。講義時間外には食事やトイレのサポートも必要になってくるだろう。仮に、上記のサポートを4年間、家族やボランティアさんですべて解決できたとしよう。すると筆者はこんな疑問を感じた。

 ──大学を卒業できても、僕には働く場所がきっとない。

 大学生活の4年間を周りの人にサポートしてもらって、さらには親に学費を出してもらったとしても、結局のところ就職ができなければ、筆者は学びを得たところで無意味だと感じた。

 そんな理由で当時は大学進学を断念したので、今の大学院と出会った時はなにかの縁を感じた。ましてや、筆者の場合は大学院側から特待生としての打診があったので、障がいへの理解を持ってもらえただけではなく、学費を含めて、非常に好条件で学びの場をもらうことができたのだ。

 そして2つ目は、純粋に経営の勉強がしたかったことだ。筆者は19歳のときに今の会社を立ち上げたわけだが、10代で社長となった筆者は経営のノウハウを持ち合わせてはいなかった。経営のノウハウどころか、今思えば社会のことさえもよく知らなかっただろう。

 会社経営は完全なる手探りで行ってきたので、上手く行かないことは多々あった。起業当初は劣等感もあった。だが、会社のリーダーとして行動力だけは誰にも負けない自負があったし、有り難いことに筆者は人脈に恵まれている人間だ。それに筆者は自分で言うのもおかしいが非常に運が良い。

 加えて、筆者はこれから先、仙拓という会社を本気で上場させたいと思っているし、そのうえで、障害者の働く環境に革命を起こしたいと画策している。

 しかし正直、今の経営能力では、それは夢のまた夢だと考えているし、少なくとも現時点でも、筆者の頭上には「透明で見えない壁」がある。そんな簡単には、次のステップには行かせてもらえないだろう。

 MBAを取得したからといってすぐに何かが変わるわけでもないし、事業が成功するわけでもない。極端な話、MBAがなくても上場はできるし、大企業の社長にもなれる。

 今、筆者はこう考えている。

 本気で体系的に経営を学び、ライバルたちと競い合いながら経営学修士を目指している今、もうすぐ筆者の頭上にある「透明で見えない壁」がぶち壊せそうな気がしている。