土屋太鳳

 土屋太鳳が“元気ハツラツ”、チアダンスに挑戦するドラマ「チアダン」(TBS系、金曜・午後10時)が13日スタートした。2009年、福井県の高校がチアダンスで全米制覇を果たした実話をベースにした映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」の9年後の世界を描くオリジナルストーリーということだが、チアダンスと土屋があまりにもしっくりきて必見のドラマに仕上がっている。

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再び、土屋太鳳が女子高生に

 土屋の出世作といえるのが、2015年春のNHK朝ドラ「まれ」。筆者はそのとき初めて土屋を取材したのだが、当時二十歳の土屋は高校生といっても十分通るほどピカピカに光っていた。お肌がピチピチ……というとオッサン記者のいやらしさ全開のようで心苦しいが、真面目な話、それ以上に何と言っても笑顔と、出てくる言葉の一つ一つが純粋無垢に輝いていたのだ。写真撮影の間も、ふんわりしたワンピの裾をひるがえしながら、カメラマンの要求以上にさまざまなポージングにテンション高く応え、目のやり場に困ったほどの天真爛漫さが印象に残っている。

 あれから3年、それなりに芸能人としても人間としても経験を重ねて成長してきたはずだが、良くも悪くも土屋の本質は変わっていないようだ。高校の制服姿といい、チアガールのコス姿といい、いささかの違和感もない。制服、チアのコスとくれば、配役を一歩間違えればいやらしい男目線の餌食になってしまうところだが、土屋の健康美はそんな不純な視線をまったく受け付けない。見ていて清々しいし、「若さっていいなあ」と素直に思える。そんな調子で最初は「これは土屋のドラマだなあ」と思いながら見ていたのだが、やがて共演陣も見事にハマりきっていることに気づく。

どんなチアダンスを見せてくれるのか? 顧問役のオダギリジョーにも注目

 まず、東京からの転校生で、全米制覇を成し遂げた「JETS」(県内の他校にあるチーム)打倒を目標にチアダンス部設立に動く桐生汐里役の石井杏奈。高校1年生の時に東京代表としてチアダンス大会に出場、自身のミスで「JETS」に敗北したという苦い過去を持つ。それだけに、「JETS」を凌ぐチアダンス部作りには執念を感じる。最初は情熱が空回りし周囲から反感を買うが、土屋演じる藤谷わかばの理解と共感を得て勢いづく。猪突猛進のエネルギッシュガールで、こんな子がクラスメイトにいたら楽しいかうざいか両極端に評価は分かれるだろうな、と思ってしまう。

 そしてわかばの姉は、なんと「JETS」で3年連続センターを張り全米制覇を果たしたあおい(新木優子)なのだが、普通に考えてまずあり得ないハイレベル美人姉妹揃い踏みに、これぞドラマならでは、と高まってしまった。

 チアダンス部に勧誘されて参加してくる面々もそれぞれに個性が生きているし、わかばの親友で文化系女子・柳沢有紀役の八木莉可子や、クラスの学級委員で生徒会役員も務める優等生ながら、実は勉強以外に本当にやりたいことがある桜沢麻子役の佐久間由衣、「JETS」のコーチである友永ひかり役として、映画版ヒロインの広瀬すずが特別出演など、キャスティングが魅力的だ。中でも、中学の時に起こした事件がきっかけで、すべての人と距離を置くようになってしまった柴田茉希役の山本舞香は、難しい役柄だが期待したい。映画「ひるなかの流星」の女子力No.1猫田ゆゆか役では、多彩な表情を巧みに見せなければならない難しい役柄だったが、細かなところまで神経の通った演技が良かった。わかばたちにスカウトされ、今後どのように気持ちが移ろいゆくか。

 また主要キャストの中で逆紅一点、成り行き上チアダンス部顧問に祭り上げられそうなダメ中年教師・漆戸太郎役のオダギリジョーにも注目させられる。金八先生のような熱い教師になりたいと憧れて教師になったものの、前任校での出来事がきっかけで挫折、休職していた。声にも覇気がなく、精彩を欠いており、生徒になめられていることを自覚している。そんな情けない役どころなのに、確かな存在感でドラマを支えているのはさすがオダジョーだ。第2話では、そのトラウマが明かされるというから否応なしに見たくなる。

 昔であれば“スポ根”モノにカテゴライズされていたことだろうが、爽快で純度の高い青春物語になりそうだ。主題歌を担当するサンボマスターのナンバーとともに、テレビの画面の中から観る側へエールが贈られてくる感じが心地よい。

次も見たい度 ★★★★★

(文:志和浩司)