鳥栖への入団会見に臨んだF・トーレスと、熱意で口説いた竹原社長(写真・アフロ)

 ラ・リーガ1部の強豪アトレティコ・マドリードから、J1のサガン鳥栖へ加入した元スペイン代表FW、フェルナンド・トーレス(34)が15日に来日。都内の帝国ホテルで入団会見を行った。

 今シーズン限りでのアトレティコ退団を表明していた、トーレスのサガンへの移籍が初めて報じられたのは5月上旬。一転して6月下旬以降になると雲行きが怪しくなり、一時は交渉決裂も報じられたなかで、7月10日になってトーレス本人がサガン入りを電撃的に発表した。
 左胸にサガンのエンブレムが刻まれた濃紺のポロシャツにジーパンという、ラフなスタイルで登壇したトーレスは「この数ヵ月間、いろいろな国からオファーをもらった」と明言。最終的にサガンを選んだ理由として、竹原稔社長(57)の「熱意」を挙げた。

「最初に関心を示してくれたのが、竹原社長とサガン鳥栖でした。私にとってこれは非常に重要なことです。数ヵ月にわたって話をすることができたし、時間がほしいとお願いしたときには私の考えを尊重してくれた。私や家族が必要なことをカバーすべく、いろいろと尽力もしてくれた。
 いろいろなニュースが報じられていることは知っていたが、竹原社長は常に明快な形で、素晴らしい交渉をしてくれた。私や家族にとって日本は素晴らしい目的地であり、新しい文化、新しい言語、新しい国について学ぶことができ、幸福な生活を送れるだろうと考えるようになった」

 アトレティコの下部組織で心技体を磨いたトーレスは、17歳だった2001年5月にトップチームでデビュー。リヴァプール、チェルシー、ACミランをへて2015年1月に古巣へ復帰し、下部組織から数えて16年目となる2017-18シーズンの開幕を前に秘かに決意を固めた。

「昨シーズンをもって、アトレティコをやめようと決めた。同時にヨーロッパに残る選択肢もなくなった。新しい挑戦をどこで始めようかと考えたときに、日本という選択肢が浮上してきた。サッカー面でも家族の生活という面を考えても素晴らしいオファーで、私に対する信頼感がすごく感じられた」

 トーレスが退団を表明したのが4月9日。直後に電光石火のオファーを出した理由を、入団会見後に取材に応じた竹原社長はこう説明した。

「ずっとアタッカーを探していたなかで、プレーだけでなく人柄を含めたすべてが1を1.1、いや、1.2にできる選手として、強化部とも話してすぐにリストのなかでナンバーワンにしました」

 第6節から泥沼の7連敗を喫したサガンは、J2降格圏の17位でワールドカップ・ロシア大会に伴う中断期間に入った。連敗中に開催されたサポーターとの対話集会では、竹原社長は「少し背伸びしてでも補強する」と手薄だったFW及びDFの補強を明言している。

 アメリカのシカゴ・ファイアー、中国の北京人和、オーストラリアのシドニーFCとの争奪戦を制し、有言実行で約束を守った竹原社長は「何回くらいですかね。本当にたくさん行きました」と何度もスペインへ足を運んだと明言。トーレスとの間に築いた強い絆に表情を綻ばせた。

「お金で言えばアメリカや中国、オーストラリアのチームのほうがはるかに上だったのではないでしょうか。ウチはそういうマネーゲームの話はしなかったことが、かえってよかったのかもしれませんね。フットボールに対する考え方や鳥栖の未来、これからの彼の人生についてずっと話し合ってきたので」