悪質タックル問題で辞任した日大の内田前監督(右)の後任監督候補として最有力になっているのは?

関東学生アメリカンフットボール連盟が定めた日大アメフット部の今季の出場停止処分を解除するためのチーム改善報告書の提出期限が今日17日に迫った。日大アメフット部は、本日、まとめた改善策を提出し、関東学連の検証委員会の裁定を待つことになるが、その改善策の中での重要案件が、悪質タックルの指示問題で辞任した内田正人氏の後任監督を含めた新しい監督、コーチの指導体制だ。

 日大は、その選考方法や選考委員を明らかにすることなく突然、監督、コーチの公募をスタートしたが、世論の批判を受けて“後付け”で、委員長に弁護士の上杉昌隆氏を置き、スポーツライターの青島健太氏、元関学QBで現在キャスターの有馬隼人氏、スタンフォード大コーチの河田剛氏ら7人の選考委員会メンバーを決定。その選考基準についても(1)選手の自主性・独立性を尊重した抜本的なチーム改革をする能力が高いと評価できる方(2)選手やチーム内にアメリカンフットボールを通して品格や倫理観を浸透させるための具体的な方法論を有している方(3)選手との相互理解を基盤とする時代に適合した指導力があり、教育的な観点や視点から指導をする能力があると評価できる方(4)常に学ぶ姿勢や意欲を持ち、周囲から信頼されている方、という4つの条件を公表した。

 7人の外国人を含む69人の応募があったが、書類選考の時点で落選となった応募者には、順次、不採用の通知を文書で送付、選考委員会は最終選考に残った数名と面談を行ってきた。

 筆者の取材では、最終選考に残っていた京大を率いて学生王者に6度、ライスボウルも4度制した名将、水野弥一氏(78)の採用は見送られることになった。水野氏は、立教大アメフット部のアドバイザーの職にあったが、日大OBらの要請を受けて、新監督に立候補、応募した。すでに日大のクラブハウスを訪れて選手や父兄に指導方針を説明、選考委員会との面談も行われたが、他候補との比較論で採用が消滅した。

 また日大の“黒幕”と称される人物が推薦している有力候補として、一部のネットメディアで、さもありなん、と、その名前まで出されていたNFLのニューオリンズ・センツ、ジャクソンビル・ジャガーズの2球団でガードとして12シーズンプレー、引退後は、ハワイ大でヘッドコーチ代理、オフェンスラインコーチの経験もあるクリス・ナオール氏(43)は、今回、応募すらしていなかったという。

そこで新監督候補として急浮上したのが、元立命大、現立命館守山高コーチの橋詰功氏(54)の名前だ。立命大時代はワイドレシーバーとして活躍、社会人を経て1994年から立命大のオフェンスコーチに就任、2000年には全米王者になったことのある名門、オクラホマ大に1年間留学して、コーチングを学び、立命大に「リッツガン」と呼ばれるショットガンフォーメーションを導入して、2003年、2004年と立命大の連続日本一に貢献した。その後、2008年から立命館宇治高のヘッドコーチを経て、現在は立命館守山高でコーチを務めている。卓越した戦術知識だけでなく、組織運営、コーチングにも長けており、日大の新しいスタートにはふさわしい指導者と見られている。すでに選考委員会は橋詰氏の面談も終えた。
 
 ドタバタで進んだ新監督選考作業だが、選考委員会には、日大からのよけいな“圧力”はかからずに、非常に民主的に選考が進められたようだ。選考途中で、悪質タックルの指示問題で、当該選手や他選手に口封じをしたとされる大学理事が辞任するなど“影の権力”も排除され、選考委員会は、フェアに新監督選考を進めた模様。ただ、日大サイドは、関東学連の検証委員会からの承認を得るまで新監督候補者の名前を公表しない方針を固めているという。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)