クビアカツヤカミキリ成虫(写真提供:日本大学・岩田隆太郎教授)

 近年、日本各地の桜の名所で外来カミキリムシによる被害が拡大しつつあります。外来カミキリムシの名前は「クビアカツヤカミキリ」。漆黒のメタリックな体に胸部の背中が真っ赤な彩りをした、見た目はとても美しいカミキリムシで、原産地は中国、モンゴル、ロシア極東部、朝鮮半島、ベトナム北部とされ、東アジアの大陸エリアに広く分布する種です。

 本種はバラ科樹木に好んで寄生し、成虫が、サクラやモモ、ウメなどの樹木に卵を産み付け、孵化した幼虫が樹木の幹を食害して、樹木を弱らせてしまいます。幼虫は樹幹の中で2〜3年過ごすため、一度寄生されると樹幹の被害は拡大を続け、弱った樹木は最悪、枯れてしまいます。

【連載】終わりなき外来種の侵入との闘い

クビアカツヤカミキリの侵入はまさに日本のの存亡の危機に繋がる事態

クビアカツヤカミキリ幼虫(写真提供:日本大学・岩田隆太郎教授)

 2012年に愛知県で神社や民家の桜の木で、この外来カミキリムシの被害が初めて確認されて以降、2013年に埼玉県、2015年に群馬県、東京都、大阪府および徳島県、2016年に栃木県と、被害地域が拡大しています。

 いずれもサクラの木が寄生されているのですが、徳島県では果樹園のモモでも被害が発生しており、農業への影響も懸念されています。

 日本は特に、桜並木といったかたちで、道路沿いや河川敷、公園などに桜が密集した状態で植栽されており、特にほとんどの桜の木がソメイヨシノと呼ばれる接ぎ木もしくは挿し木によって増やされたクローン品種であり、種子で増えることがほぼ不可能な品種のため、病気や害虫が蔓延したら簡単に全滅してしまうリスクを背負っています。

 クビアカツヤカミキリの侵入はまさに日本のサクラの存亡の危機に繋がる事態と考えなくてはなりません。

 現状、このカミキリムシの防除方法は捕殺と薬剤処理しかなく、成虫を直接手づかみで捕獲したり、あるいは被害樹木の幹に網を巻いておいて羽化してきた成虫を捕獲したり、フラスと言われる、木の幹から押し出された幼虫の食べ残しの木屑の山を目印にして、幹に開いている穿孔に針金を差し込む、もしくは殺虫剤を注入するなどして、なかにいる幼虫を殺虫する、などの人海戦術に頼らざるを得ず、その増殖を抑制するには至っていません。