湘南ベルマーレの19歳・杉岡大暉にポスト長友としての期待がかかる(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 岡田ジャパン時代の2008年5月から不動の左サイドバックとして君臨し、30歳を超えた長友佑都からこんな言葉を聞いたことがある。ワールドカップ・ロシア大会出場をかけた、アジア最終予選が折り返そうとしていた2016年11月だった。

「僕や(本田)圭佑、オカ(岡崎慎司)がかつてそうだったように、若い選手たちも遠慮することなくポジションを奪いに来ないと。30歳を超えた選手が何人も、何年も出ている点で世代交代というか、チーム内の底上げが上手くいっていない証拠なので」

 簡単に居場所を明け渡すつもりはない。若手が挑み、ベテランが抗う。飛び交う火花が激しいほどチーム内の新陳代謝が促され、成長するスピードが加速される。お互いが全力を出し切った結果として、レギュラーを奪われれば潔く受け入れる覚悟を常に抱いてきた。

 しかし、ハリルジャパンだけでなく今年4月に船出した西野ジャパンでも、左サイドバックは無風状態が続いた。そして、帰国後に生出演したテレビ番組でも若き挑戦者の台頭を望んだ。果たして、9月には32歳になる長友を脅かす存在はいないのか。答えはノーだ。現在進行形で成長を続けるホープの一人が、2シーズンぶりにJ1へ復帰した湘南ベルマーレの19歳、杉岡大暉である。

 千葉県の強豪、市立船橋高校から加入して2年目。J1を初めて戦っているとは思えないほどの威風堂々としたオーラを放ちながら、ここまで全16試合に出場。ベルマーレのフィールドプレーヤーでは最長となる、1362分間のプレー時間を記録している。

 3バックの左ストッパーを主戦場としながら、左ウイングバックやボランチでもプレー。昨年5月に韓国で開催されたFIFA・U-20ワールドカップでは、4バックの左サイドバックを務めた。182cm、75kgとサイズに恵まれ、なおかつレフティーである点を、ベルマーレの曹貴裁(チョウ・キジェ)監督も高く評価している。

「まだまだ伸ばす部分はあるけれども、あれだけサイズがあって、なおかつ左利きという左サイドバックは、いま現在の日本サッカー界にはなかなかいない。東京五輪代表やその先に待つA代表にも、居場所を築きやすいのではないかと個人的には思っている」

 長友もバックアッパーを務めた酒井高徳も、相馬直樹や都並敏史をはじめとする歴代の左サイドバックも実は全員が右利きだ。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督も左利きの左サイドバックを求めて、川崎フロンターレの車屋紳太郎を試したことがある。