米中で貿易戦争が勃発する中、電気自動車(EV)メーカーのテスラが中国に工場を建設する計画を発表しました。同社が米国外に工場を持つのは初めてのことになります。これにはどのような背景があるのでしょうか。

写真:ロイター/アフロ

 米国と中国が互いの輸入品に対して25%の関税をかける貿易戦争が始まったことで、テスラは中国での販売価格を約2割引き上げる決定を下しました。ほぼ同じタイミングでの中国工場建設を発表したことから、トランプ政権の通商政策を嫌っての措置にも見えますが、中国での現地生産については以前から検討が進められていました。

 テスラにとって中国は販売台数の15%を占める重要な市場です。中国の自動車産業は国策となっており、外資系企業が単独で国内工場を建設することはできません。GM(ゼネラルモーターズ)など自動車大手は、中国の国営企業などと合弁会社を作って中国市場に進出しています。

 しかし中国政府は今年に入ってこの規制の撤廃を発表。外資系企業であっても直接、中国で生産することが可能となります。この前後からテスラは中国での工場建設ができないか検討を進めており、5月には上海に現地法人を設立。今回、上海市と覚書を結び、正式に工場建設が決まりました。

 建設される工場は、年間50万台の生産能力があるとされています。同社は現時点において年間50万台の生産能力を持っているとしていますが、最新型である「モデル3」の量産化に手間取っており、生産能力をフルに活用できていません。2017年における同社の生産台数は10万台だったことを考えると、中国工場の規模はかなり大きいということが分かります。

 中国工場では、次世代の製品である「モデルY」を製造する可能性が高いといわれています。中国ではBYDなど国産メーカーが低価格でEVを提供していますが、テスラも中国に工場を作ることで、ある程度までなら価格勝負に出ることが可能となります。

 もっともテスラは先行投資が多く、同社の現金保有残高は急激に減少。市場の一部からは何らかの資金的な手当が必要との声も上がっています。今回の巨大工場の建設費用をどのように調達するのかについて、同社はまだ詳細を明らかにしていません。本当に中国工場を建設するという場合には、増資といった措置が必要となるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)