イメージ写真:アフロ

 USD/JPYは18日に節目の113を突破しましたが、米国の景気拡大の持続性を考慮すると、この期におよんで一段とUSDが買い進まれるとは考えにくいです。一段のUSD/JPY上昇には慎重な姿勢を貫くことが重要と思われます。

【連載】マーケットの動きがわかる 経済指標深読み

好調に見えても、天井に近づきつつある米国経済 徐々に円高方向に

 ここで2013年以降のUSD/JPY変動が米国景気の成長モメンタムで説明できることを再確認します。USD/JPYと米国経済の成長軌道は大きくわけて3つの波があり、それらは概ね一致しています。2013年初~15年央のUSD/JPY上昇(80→125)は米国経済の加速の中で実現し、その後のUSD/JPY下落(125→100)は米国経済減速の中で起きました。その後、トランプ減税などの追い風によって米国経済の力強さが復活する下でUSD/JPYは113に水準を切り上げています(図中の1.2.3)。

 先行きの米経済が再び加速に向かうならドル高主導でUSD/JPYが120円へと上昇する可能性はあります。しかしながら、失業率がすでに4%近傍まで低下するなど景気の伸びしろが少ない現状、その可能性は低いと判断せざるを得ません。米景気拡大が長期化していることもあり、ここから加速度的な成長は考えにくい状況です。こうした見方は債券市場で長短金利差が縮小していることと部分的に整合しており、同時に市場参加者の中に景気後退を意識する向きが増えていることを物語っています。

 このように米景気の天井が近づき来つつあるなか、トランプ減税による刺激効果が剥落するであろう2019年頃には景気後退のシグナルが至る所で点灯する可能性があります。そうした見方が広がるにつれてUSD/JPYは円高方向へと方向転換する可能性が高いと予想しています。

米 実質GDP成長率

(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)
※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。