三菱UFJ信託銀行が個人情報データを預かり、民間企業に提供する「情報銀行」の業務に乗り出すことが明らかとなりました。利用者は自身の情報を提供する代わりに、企業から対価を受け取ることができます。近年、ネットの購買履歴といった個人情報の管理が社会問題となっていますが、これを新しいビジネスにすることはできるのでしょうか。

三菱UFJ信託が「情報銀行」参入へ。サービスの具体的なスキーム(出典:三菱UFJ信託銀行)

 これまでネット上で収集した情報は、ネット企業各社が独自に保有しており、情報を提供している本人は自身の情報を管理することができません。欧米ではこうした状況に一部の利用者が不満を持っており、米フェイスブックのデータ不正流用問題をきっかけに、一気に顕在化しました。

 こうした事態を背景に、IT業界では個人データを提供者本人が管理できる仕組みを構築する動きが出てきています。同行の情報銀行もこうした流れの延長線上にあるサービスと考えてよいでしょう。

 このサービスの利用者はスマホのアプリを通じて、個人の健康情報や行動記録など、自分が提供してもよい情報を選択します。これに対して、企業側は欲しいデータの種類をアプリ上で表示し、利用者はどこに情報を提供するのかを決定する仕組みです。データ提供した個人に対しては、企業から金銭的な対価が支払われます。

 今年の8月から実証実験を開始し、サービス開始に向けたノウハウを蓄積した上で2019年には本格的に事業に乗り出したい意向です。

 このプラットフォームは、どちらかというと積極的に企業に情報を提供して対価を得たいという人向けのサービスと言えるでしょう。企業が個人の情報を活用することが避けられないのであれば、むしろ積極的に情報を管理して、対価を受け取った方が得であるというのは、ひとつの考え方です。

 世の中には各種ポイントをゲットすることを趣味にしている人もいますが、こうした情報銀行が普及すれば、個人情報で対価を得ることを楽しみにする人も出てくるかもしれません。

 一方、コストをかけてでも自身の情報を守りたいと考える人もいます。欧米の一部のベンチャー企業では、ブロックチェーンの技術を使って個人の情報をネット上で安全に保管し、ネット事業者に提供する情報をコントロールする技術を開発していますが、まだ社会に普及するレベルには至っていません。

(The Capital Tribune Japan)