寝屋川は狙った5回コールドで8強進出を決めた

高校野球の北大阪大会の4回戦が行われ、万博球場では公立進学校の寝屋川が春日丘を14-4の5回コールドゲームで下してベスト8進出を決めた。エースの藤原涼太(3年)に疲労を蓄積させないために、初回に主将の一貫田裕貴(3年)が満塁アーチを放つなど、したたかにコールドを狙ってやってのけたもの。チームは今日25日に準々決勝で激突する昨年春のセンバツ準優勝、履正社戦に万全の体勢で臨むことに成功した。また同日準決勝の抽選も行われ、寝屋川ー履正社の勝者は、春夏全国制覇を狙う大阪桐蔭と金光大阪の勝者と対戦することになった。“公立の星”が最強私学にどう挑むか注目が集まる。

 

野球人生初の満塁本塁打を放った寝屋川の一貫田主将。春の大阪桐蔭戦では痛恨のエラーを喫していた。

 その打球にはチーム全員の願いがこもっていた。
 「藤原を少しでも楽にさせてやりたかった」
 1回一死満塁。左打席にはキャプテンの一貫田。
 達監督は「藤原をどう休ませるか。コールドを狙うか、2番手をうまく使うかしかない」と考えていた。
 「そうなるとランナーをためて長打。それしかない」
 春日丘の先発・藤井は、変則のサイドハンドで、そのほとんどが100キロ程度の変化球。いくらでも得意の足は使えたが、あえて機動力は封印して走者をためた。
 一貫田のカウントは3-1。ベンチのサインは「打て」だった。
「押し出しを狙って、まず1点よりも、ホームランも打てる子なので一貫田にかけた」
 達監督はコールド勝利を狙っていた。
 打席の一貫田は、進学校らしい、クレバーな読みを働かせていた。
「ボール3つが全部変化球なんです。ストライクはストレート。だから、このカウント、ストレートしかないだろうと」。ズバリ、ストレートが絶好のコースに誘いこまれた。
 フルスイングには見えなかった。ヘッドが綺麗に抜けて快音を残す。打球はライトスタンドへ。強烈なカウンターパンチとなる満塁本塁打である。
 一貫田は通算本塁打は、これが5本目。体格は大きい方でもパワーヒッターでもない。当然、満塁本塁打は野球人生初。軟式野球をやっていた淀川中時代も打ったことがなかった。それがコールドを狙ったゲームの初回にグランドスラムである。
 さらに2回にも、エースで3番の藤原、野田、一貫田の3者連続二塁打で3点を追加。計画通り、たった一人でマウンドを守ってきた藤原を連戦となる履正社戦に向けて休養させるコールド勝利プランが進んでいたが、その頼りの藤原が、いつもと違った。
 スライダーを曲げようと意識しすぎて、それがワンバウンドになるほど。ボールが先行してフォームがばらつく。2回には無死一塁の走者の盗塁のサインを読んで、クイックを使って刺すなど、頭を使って無失点を守っていたが、3回、先頭の9番打者を四球で歩かせると、3本のヒットに守りのミスも絡んで3点を失う。  せっかくのコールドペースが台無しになりかけていた。
「集中力がなかった。投手よりバッター重視でいってしまったのが悪かったんです」。ガンガン照りの酷暑。走り回った後のマウンドでは、なかなか息が整わない。“打者藤原”が“投手藤原”の負担を準々決勝へ向けて軽くしようと、コールド狙いにいったはいいものの、予想外の落とし穴が待っていたのである。
 だが、大崩壊寸前のところで踏みとどまった。
「達監督やベンチ入りメンバーにフォームがおかしいよと、修正のアドバイスをもらって」(藤原)。ストレートが走りだした。多彩な変化球が藤原の持ち味だが、135キロ後半のストレートがあってこそ生きる。ベンチメンバーは、記録的な暑さに汗がふきだす藤原がベンチに帰ると、氷をあて、団扇で扇いで風を送った。