ネット空間で侮辱されたことをきっかけとした殺人事件が発生したことで、あらためてネット空間のあり方が議論されています。日本のネット空間は諸外国と比較しても特殊な部分が多いとされていますが、情報通信白書の調査結果もそれを裏付けています。

イメージ写真:アフロ

 総務省が公表した2018年版情報通信白書によると、日本人のソーシャルメディアの利用方法は閲覧に偏っており、自ら情報を発信している人は意外と少ないそうです。

 フェイスブックで自ら積極的に情報発信を行っている人は、米国は5割近くに達しますが、日本人ではわずか5.5%でした。英国は34.9%、ドイツは25.9%ですから、やはり日本人の情報発信は消極的なようです。

 もっとも日本ではフェイスブックそのものが普及していないという現状があり、調査に回答した人の半分以上が「利用していない」という結果となっています。しかしながら利用している人の中での比較においても、閲覧のみの比率が高いという状況は変わりません。

 ツイッターもほぼ同様で、ツイッターで積極的に発言している日本人は約9%にとどまっており、米国の半分程度しかありません。

 ネット空間やそこで知り合う人に対する認識も対照的です。SNSで知り合う人のほとんどは信用できると回答した日本人はわずか13%でした。一方、米国は約65%、英国は約68%が信用できるとしています。日本人はネット空間で知り合う相手に対してまったく信用していないという現実が浮き彫りになっています。

 整理すると、日本ではネット空間やそこで知り合う人を基本的に信用しておらず、多くの人が他人の発言を閲覧するだけの利用にとどめています。そうなってくると、ネット空間で積極的に発言している人は、必ずしも世間一般の感覚を代表しているとは限らなくなります。ネット空間が特殊だという認識が広まることで、さらに多くの人が閲覧に徹するというスパイラルが発生している可能性も否定できないでしょう。

 諸外国ではリアルな付き合いとネット空間に大きな違いがなく、これがネット空間の信頼性を高める大きな要因となっています。面と向かって言えないことは、ネットでも言うべきではないという、当たり前の理屈がもっと一般的になれば、日本のネット空間も、さらに信用できるものになるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)