動画をもっと見る

 普段はベンチとして利用し、災害時に2人の避難者らを運べる「車輪付きベンチ」を長野県の企業が開発し、同県に1台を寄付しました。すでに県内29市町村に寄付を終え、長野県に寄付した17日で30台目を達成。製造者は「1人で2人を救う救命率アップを願って開発した」とし、被災時の物資運搬などにも活用してほしいとしています。

[写真]避難者2人を運べる「車輪付きベンチ」と、引き手を持つ米澤代表(長野県庁で)

 車輪付きベンチは、2人が座れるベンチに車輪を付け、災害時には避難者2人を乗せて押しながら素早く移動できるといいます。ベンチの重量は35~40キログラム。同県千曲市の有限会社・米生(よねせい)物産(米澤生久代表)が数年前から開発に取り組み、今年6月に特許を得たとしています。

[写真]普段は2人が座れるベンチに

 ベンチの特徴は、災害時の悪路の走破性を良くするため、本体に組み込んである金属パイプ製の引き手を引き出し、リヤカーのように楽に引くことを可能にした点。引き手側の車輪は直径を大きくして5センチ前後の段差を越えることができ、パンクしないタイヤを使用しました。

[写真]飲料水タンクなど災害時の物資の運搬にも活用できる

 避難者を運ぶだけでなく、20リットル容量の飲料水タンクも2個以上載せて運搬できるほか、救援物資など重い物も運搬できるなど多目的にも使えます。

 開発・製造を担当した米澤代表は「災害時には1人が1人を助けるのが精いっぱい。これまで多くの災害をニュースで知るたびに1人で2人を助ける方法はないかと考え、車輪付きベンチの発想を得た」。実際に役立ててもらおうと昨年から市町村に寄付を続けてきました。

 車輪付きベンチは「助人(すけっと)くん」の愛称で通常の価格は1台28万円。自治体などを通じて販売を求められた場合は、手間賃などに相当する分を差し引いて18万円にしたいとしています。

 これまでに長野市内の自治会に数台貸し出すなど、実際に利用してもらい、利用の拡大を目指しています。


■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説