中国でV2に成功したWBO世界フライ級王者、木村翔だが、3階級制覇を狙う田中との指名試合の期限が9月末に設定されている

中国・青島でWBO世界フライ級王座の防衛に成功した木村翔(29、青木)が29日、中部国際空港経由の日航機で凱旋帰国した。木村は約1か月前に試合が決まるという異例のスケジュールだったにもかかわらず同級3位のフローイラン・サルダール(29、フィリピン)をめった打ちにして最後は左ボディで6回KO勝利。中国ではリング外の洗礼を浴びながらもV2に成功した。3度目の防衛戦は、WBOから指令されている元2階級王者、田中恒成(23、畑中)との指名試合になるが、その期限は9月末まで。ほとんど時間がない中で木村は、再び試練のリングに立つことになる。
 
 中国では主催者から試合翌日にパーティへの出席を懇願されて帰国を1日延ばした。8人単位の記念撮影を何十回もする大人気ぶりで中国メディアの取材も殺到したという。試合は、国営放送で生中継され、中国で最も有名な日本人アスリートである卓球の福原愛ちゃんの人気に迫る勢い。それでも「愛ちゃんの壁は厚いです。まだまだ越えられない。中国語を喋れれば、越えられるかもしれないが難しい。でも中国の人は温かかった。メディアも、お客さんも。アウエーだけどホームの感じで戦っていた」と笑う。

 だが、リング外では中国ならではの“とんでも事件”もあった。
 中国入りすると、ホテルの部屋を突然ノックされサインをせがまれた。それも海外でよくある敵陣営の嫌がらせではなく、純粋にサインを求める人たちで、延べ10人以上にノックされたという。「途中からは、もう部屋をピンポンされても出なかったんですが」。
 極めつけは、試合の当日にホテルに現地スポンサーから、どさっと100個以上のグローブが持ちこまれ、サインを要望されたこと。「それもこなして勝った。逞しくなりましたよ」。

 試合は木村のワンサイドだった。
 ガードを固めてプレッシャーをかけボディから削った。
 勝因は?と聞くと「ボディじゃないですか」。
「ボディで落ちると思った。サルダールの攻撃力が強いから、どれだけプレッシャーをかけていけるか、と。逆になると厳しくなる。ボディで結果的に落ちてくれた。作戦通り。下がってはダメ。前に行くボクシングをしないとダメだと思った」
 4回には、ロープにつめて猛ラッシュ。「手が痛くなるほど」(木村)サンドバッグ状態にしたが、タフな挑戦者は耐えた。「ならばボディ」と、5回にレバーブローで一度目のダウンを奪うと、6回にも再び左ボディで膝をつかせた。もうサルダールに立ち上がる気力は残っていなかった。
「しっかりとKOで勝てたのは大きいと思う」