近年よく耳にするようになった“デジタル遺品”とは、故人がデジタル機器やネット上に残したデータのことだ。一昔前までは聞かなかった言葉だが、最近はこの取り扱いに困る人が急増中だという。27日スタートした金曜ナイトドラマ「dele(ディーリー)」(テレビ朝日系、午後11時15分〜)は、連ドラ史上初、まさにそのデジタル遺品を中心に1話完結で物語が展開していく。W主演の山田孝之と菅田将暉の緊迫感あふれる競演が初回から話題を呼んでいる。

 タイトルの意味は、「削除」すること。依頼人のデジタル遺品に残された記録を秘密裏に削除する過程で、さまざまな人間ドラマや事件が浮かび上がる。人気作家・本多孝好氏が、山田と菅田を想定して書いた、いわゆる“あてがき”したという完全オリジナルストーリーであることも大きな注目を集めている。山田は、車椅子の天才プログラマー、坂上圭司を。菅田は、元何でも屋の青年・真柴祐太郎を演じる。ほかに坂上の姉で弁護士の舞を麻生久美子が演じているのも見逃せない。

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ドラマ好きに「面白い!」と思わせる脚本 毎回の削除案件もコンビ熟成度合いも楽しみ

 初回は、菅田演じる何でも屋・真柴が子どもを連れ去った容疑で警察に逮捕されるところから始まり、あとは怒涛のようにストーリーが展開する。緻密に練られた脚本あればこそのスピード感だが、山田&菅田の深みありアクションありの確かな演技もドラマ全体を力強く牽引している印象で、とにかく飽きさせない。映像は全体的にやや暗めでクールなトーンだが、息をもつかせぬ展開を的確なカメラワークで大いに盛り上げている。

 何でも屋・真柴(菅田)に興味を持った弁護士の坂上(麻生)は保釈金を立て替え、自由の身となった彼に、弟・圭司(山田)が立ち上げた「dele. LIFE」という会社を紹介する。そこで行われているのは、依頼人の死後、不都合なデジタル記録をすべて秘密裏に抹消するという仕事で、最初は姉の押し付けにしぶしぶ真柴を受け入れた圭司だったが、良い意味で想像をはるかに裏切る真柴の有能さに、自然とコンビを組むかっこうとなっていく。

 初回では、ゴシップ記者の安岡春雄(本多章一)のデバイスが36時間操作されていないことから死亡確認に向かった真柴が安岡の遺体を発見する。自殺と判断した圭司は、依頼通り安岡のデジタル遺品を削除にかかるが、安岡の息子の言葉から他殺であると直感した真柴は猛反対し、本来は見ることのない遺品データの内容を確認することになった。すると、安岡はなんと警察の裏金作りをスクープしようとしていたことがわかった。2人は、巨大な権力に立ち向かうことになる。

 真柴のクレバーな判断力と身体能力を駆使したアクションや圭司の車椅子を自在に扱うアクションなどが、スリリングな展開に拍車をかけている。それも、単にドタバタしているわけではなく、ひとつひとつのシーンに深み、重みがあるのは2人の演技力と演出のなせるワザだろう。

 バディを描くドラマでは、2人のコントラストの妙味が成功の鍵を握ると言っていいが、真柴役の菅田はあっけらかんとした陽のキャラで“カッコかわいいイケメン”ぶりを発揮、圭司役の山田は気難しそうにも見えるほど冷静沈着でかげりのある人物を好演している。まったく異なる性格の2人がバランスよく描かれている。毎回の“削除”案件の内容も楽しみだが、2人のコンビネーションが熟成されていくのも楽しみだ。

 次も観たい度 ★★★★★ 

(文:田村豊)