[画像]最終報告書について会見する日大の第三者委員会、勝丸委員長

 日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、日大が設置した第三者委員会は30日、最終報告書を公表した。

 経営トップの田中英寿理事長に関して、危機管理対応を放置してきた点などを指摘し「責任者として反省声明を発表するとともに説明責任を果たし今後は学生ファーストの大学の運営を行う旨の宣言をすることを強く望む」と明記し、管理責任や説明責任に言及した。

 すでに理事を辞任した井ノ口忠男氏がタックルをした選手に「(真相を黙っていれば) 一生面倒を見る。ただ、そうでなかったときには、日大が総力を挙げて、潰しにいく」と口封じを行っていた実態も明らかにした。

 運動部のガバナンス強化のために、「スポーツ推進支援センター」(仮称)を学内に新設することなどの再発防止策も求めた。

※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「【中継録画】悪質タックル問題 日大の第三者委が最終報告書を公表」に対応しております。

【画像】日大の第三者委が最終報告(全文3)理事長らは大学の問題と捉えていなかった

日大には学生ファーストの視点と説明責任が欠如

勝丸:次に第2の点ですが、本件事案の事後対応に関して、日大に根本的に欠けていたのではないかと思われる2つの点について説明いたします。私どもの最終報告書では、今回の件の事後対応が不適切であったことに関し、関係者の当事者意識が希薄だったことや、責任の所在が不明確であったことなどについて指摘しています。危機管理体制の強化についてもさまざまな提案をしています。もちろん日大には、それらのこともきちんと実施していただきたいのですが、日大には立派な危機管理規定があるにもかかわらず、今回それがまったく働かなかったことから分かるように、規定を整備してもそこに魂が入っていなければどうにもなりません。

 その意味で、今回の事件で日大に決定的に欠けていた視点を2つ指摘します。1つは学生ファーストの視点の欠如です。私どもはアメフト部の多くの選手からヒアリングをしました。しかし選手たちは大学を必ずしも信用しておらず、大学から調査を委嘱された私どもに対して、下手なことを話してしまうと大学に通報され不利益を受けるのではないかと、そういう疑いの目を私たちに向けていました。彼らの心を開いてもらうには丁寧な説明が必要でした。中間報告の際に発表したように、A選手と監督・コーチの言い分が食い違っている中、アメフト部員へのアンケート結果では内田氏の言い分が正しいと答えた部員は誰一人おらず、アメフト部員の間ではA選手の言っていることが正しいということが常識になっていたのです。

 学生ファーストの視点があれば、大学として中立的な立場から選手たちに事情を聞き、大学サイドでも真相に迫れたでしょう。しかし実際に行われたのは、A選手、あるいは他の選手への口封じでした。その結果、大学はアメフト部選手からまったく信用されなくなり、真相にも迫れませんでした。学生から信用されない大学では駄目でしょう。そうなったのは大学に、学生に寄り添おうとする姿勢、学生ファーストの視点が欠けていたからです。5月25日の大塚学長の記者会見で、大学としては初めてA選手を1人での記者会見に追い込んだことへの責任と反省が語られたのが救いではありますが、日大を代表する理事長自身からも、これまでの経緯を反省し、今後の日大は学生第一の姿勢で臨むことを宣言してもらいたいと思っています。

 もう1つ日大に欠けていたものは、説明責任を果たしていこうとする姿勢です。事案をきっちりと調査して内外に説明しようとする姿勢のなさが、今回の件で事後対応の遅れにつながっています。今回の件は内部的にも早期の段階で常務理事会、理事会等の広い場で、大学としての対応が検討されるべき事案でした。そういう内部説明のまったくない状態で、他方では井ノ口氏らによるもみ消し工作が行われました。

 本件が社会問題化したあとは、大学として学生父兄はもとより、社会に対しても説明する責任が生じてきていました。私立大学といえども公教育の一翼を担っている以上は公共性が認められており、その中には社会への説明責任も当然入ってきます。内外への説明責任を意識していれば、それに向けた早期の情報収集と説明に堪える丁寧な調査が行われる余地があったでしょう。しかし日大には、内部へも外部へも説明しようとする姿勢が欠けていました。今後の日大は内外への説明責任の重要性を肝に銘じてほしいと思います。

 特に理事長は、経営の責任者であるとともに緊急時における危機管理の責任者でもあったのです。しかるに、理事長は本件をアメフト部の問題と割り切り、本件を人ごととして放置し、なんの対策も取りませんでした。あまりに無責任でした。その結果、本件は大新聞の社説にまで繰り返し取り上げられる社会問題となり、大学の信頼と評判は大きく損なわれました。理事長には先に述べた学生ファーストの大学運営の宣言を行うとともに、この一連の経過を省みて、反省と謝罪を含めた自らの説明責任を果たすべきであると考えます。