関東学連は日大の復帰を認めなかった。断腸の思いで決断をすることになった柿澤理事長(左から2人目)は悲しさと怒りで涙ぐんだ。

関東学生アメリカンフットボール連盟は31日、都内で臨時理事会を開き、日大が改善報告書を提出して求めていた出場停止処分の解除を17対3の評決で認めず同校は9月開幕のリーグ戦に出場できなくなった。日大の今季は全試合不戦敗となり自動的に2部に相当する「ビッグ8」に降格することになった。検証委員会が出した「十分な改善がなされたと認められない」という答申を17人の理事が承認したもので、学生のアメフト倫理観の低下、大学のガバナンスが整備されておらず実効性のある再発防止策が策定されていると認められないこと、最高権力者の田中理事長の改善に対する強いメッセージがないことなどを問題視した。問題点をすべて洗い出した評価すべき裁定となったがルール上は、日大が今後より踏み込んだ再発防止策を実行しなくとも来季は出場停止処分が解ける。他大学の安全性を担保するためにも今後復帰に際しては何らかの手を打つ必要があり問題を残した。
 また日大のリーグ戦不出場で運営側の関東学連が被る経済的損失の損害賠償を日大に請求する考えと「除名処分」を受けた内田正人前監督からの処分に対する異議申し立てはなかったことも明らかにされた。

 

 関東学連の検証委員会は7月5日から30日まで8回に渡って開かれ、日大関係者に5回のヒヤリングを行い17日に提出されていた改善報告書を多角的に検証。
 (1)チームとして原因究明(2)実効性のある再発防止策の策定・実施(3)抜本的なチーム改革・組織改革の断行の3点について検証したが、それぞれに問題点が指摘された。
 (1)の悪質タックルが起きた原因の究明に関しては、盲従的に内田前監督、井上前コーチの指示に従った学生にも「アメフト倫理観」の低下という問題があったことに改善報告書では一切、触れられていなかったことを指摘。検証委員会は、日大の学生がスポーツ倫理の周知徹底のため外部セミナーを受講した後に、その感想文の提出を受けてチェックしたが、「どれだけ事態と責任の重大性を認識しているのかが見えてこない」との印象を持ったという。
 (2)の再発防止策の実効性については、大学のガバナンスが機能しているか、どうかが重要な点になるが、検証委員会は、アメフト部を統括、管理する立場にある保健体育審議会が「組織上の位置づけが解りづらく必要な策定・実施を牽引できるように機能しているのかという点でも疑問である」と問題視、関係者へのヒヤリングの結果、改善報告書の作成にあたりアメフト部と保体審が連携していなかった事実を明らかにした。

 また日大は内田前監督が、常務理事と保体審の事務局長を兼務して“独裁体制”を作りあげていたことから、今後、兼職禁止とすることを改善報告書で打ち出していたが「制度化、ルール策定はまだで“実効性のある再発防止策が策定・実施された”という段階に至っていない」と厳しく評した。
 内田前監督、井上前コーチを懲戒解雇したことは、影響力の排除として評価するが、口封じなどを行った井ノ口忠男氏(検証委員会の答申では実名ではなく元理事と書かれている)については、理事を辞任したが、懲戒処分を受けたわけではなく「影響力が排除されたと考えて良いのか判断に迷う。内田氏ほか一部の大学関係者の影響力が完全に排除されたかどうかは現時点は不明」と、疑問を投げかけた。
 井ノ口氏と田中理事長の深い関係性を危惧したものと思われる。 

 筆者は、前日、第三者委員会の評価すべき最終報告書が、日大が提出した改善報告書に反映されていないことを悲劇だと書いたが、検証委員会も「改善報告書の作成・再発防止策の策定に際して、第三者委員会との連携や協議がまったくなされなかった」とし「意外であり残念。(それがあれば)より充実した内容になっただろう」と苦言を呈した。

 (3)の抜本的なチーム、組織改革の中心となる新監督、コーチの人選について、日大は外部の有識者で選考委員会を立ち上げて、その選考基準を明確にし、新監督候補の橋詰功氏と、コーチ候補を1人選定した。その点については、「適正な手続きで選定した点は評価できる」とした。
 だが、新監督候補、コーチへの評価、論評はあえて行わず、「新監督、コーチの選考委員会の人選は誰が主導したか?という疑問や、一部の委員と橋詰氏との接点などがあったという意見もあるが、手続きに瑕疵があったなどとして、選考そのものを認めないとするものではない」とした上で、「重要なポイントは選手が主体的に自己改革すること」という意見を述べた。